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動物をめぐる人びと
 
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ペット救援活動
飼い主と幸せな生活を送るネコや犬たちが増える一方、
最も信頼すべき飼い主によって捨てられる不幸なネコや犬たちもどんどん増えています。
そのような動物たちの救援活動に全力をあげている動物救援組織ARK(アーク)の代表、
エリザベス・オリバーさんにインタビューしました。

ARK(アニマル・レフュージュ・カンサイ)
代表 エリザベス・オリバーさん
●ARK(アニマル・レフュージュ・カンサイ)
 〒563-01 大阪府豊能郡能勢町野間大原595
 Tel (0727)37-0712 Fax (0727)37-1645

  道ばたで出会った捨てネコや
捨て犬を世話するために


 わたし、イギリスからいちばん遠い日本や中国、モンゴルに興味があって、大学時代の68年に半年ほど旅行したことがあります。それで日本が気に入って、数年後にまた日本にやって来ました。そのときは3年ほど滞在するつもりだったのですが、気がつくともう25年…。はじめは茨木市に住んで、英語を教えていました。でも都市化が進んで、農村がなくなってきたので、山のほうに引っ越しました。わたし、動物が大好き。だから犬やネコ、それに馬などを飼って暮らしていました。でも道ばたで捨て犬や捨てネコを見つけることが多くて、家に連れて帰って世話をする動物が増えるばかり。そこで9年前、能勢町の奥、野間大原に移ってきたのです。
 ここは山間の旧農地で、最初は家も電気も、水道も橋も何もなかった。そこに家や納屋を建て、橋をつくり、休耕田に木を植えて、暮らし始めました。

すっかり"わが子"となったこの子達も元は捨て犬。

震災でささやかな自分の
「世界」がつぶれた動物たち


 ペット救援活動を始めたのは6年前です。日本は捨て犬や捨てネコがほんとに多いですね。野良犬とか野良ネコとかいうけれど、みんな人間が無責任に捨てたから「野良」になるんです。それに避妊や去勢はかわいそう、というけれど、犬やネコが人間社会で暮らすからには、不幸な動物を増やさないようにすることがとても大事です。人間だって、経済的な問題や住宅問題などでそんなに子どもを産めない世の中なんですから。
 最初は友だちと2人で捨て犬や捨てネコを救援して、新聞広告や動物愛護団体などのネットワークで里親を探していました。でも1人で20頭ぐらい世話をするのが精一杯。それに病気の予防や治療、避妊・去勢手術などで、とてもお金がかかります。だから会員制の救援組織ARKをつくり、多くの人たちの力を借りながら、本格的な救援活動を開始したのです。
 現在、ARKで世話している動物は約300頭。ネコは90頭ほど。昨年1月の阪神大震災で、あっという間に3倍に増えました。実は今も、家の建て替えやアパート暮らしで飼えないから、と預かることがあります。
 震災のとき、テレビで見て、世話ができずに安楽死させる動物が多くて、すごく悲しかった。電車を乗り継いで、あちこち歩いて、1頭、2頭と引き取ってきましたが、地震のショックや飼い主と離れた不安感から、どの子もすごく神経質でした。動物は生活空間が狭いでしょ。とくにネコは室内飼いなら、家の中だけが自分の世界。付き合う人も飼い主だけ。その「世界」がつぶれたショックって、すごいと思います。ここへ来てから半年間、小さな箱の中から出なかった、タマというネコもいます。もう1年半になるけど、まだショック状態が残っていて、たぶん元に戻れない、と…。


最近は、捨てられるペットのブタも…。

里親にかわいがられ、元気に暮らしているという
便りの届くときが一番うれしい


 心のリハビリテーションに一番いい方法は、最も信頼できる飼い主と暮らすこと。わたしたちも一生懸命、愛情をかけて世話していますが、100%元に戻ることはありません。動物の受けた心の傷は震災だけじゃない。環境が変わる。人が変わる。生活習慣が変わる。いくつもあります。ネコは本来、自由に放し飼いするのがいいんですが、そうすると、逃げてしまうし、ほかのネコとケンカしても困る。病気のネコは別の小屋で世話してあげないといけないし…。
 里親は、北海道から九州まで全国にいます。とくにネコ好きにはいい人が多いのですが、なかには、まるでペットショップに来たみたいに「子犬いませんか」と訪ねてきたり、写真週刊誌で紹介されたときは、電話で「何番の動物ください」なんて、通販でショッピングする感じの人も多くて残念でした。
 ARKでは、里親希望の人には、賃貸か持ち家か、ペット可マンションかといった住環境をはじめ、里親になる目的などいろんな項目をアンケート調査しています。子どものためとかで、オモチャ代わりにされたのでは大変です。大切なのは親、とくに毎日世話をする母親がほんとうに動物好きかどうかですね。里親の家庭にはときどき電話して、元気かどうか、避妊や去勢はすませたかどうかをたずねています。近くなら訪問して様子を見にいくこともできますが、遠いところだと、そこまでできません。これから、各地のボランティアの人に定期的に訪問してもらうシステムにしたいと考えています。
 わたし、動物のおかげで、いろんないい人とたくさん友だちになりました。
 一番うれしいことは、里親さんが大事に飼っている犬を連れて訪ねてくれたり、大きく、きれいになったネコや犬の写真とお便りを送ってきてくれたとき。ペット救援活動をしていて、つらいことも多いですが、つらいことばかり考えていたら、続けていけないでしょ。

*この記事は、1996年7月15日発行のものです。

■ARKの活動内容
・望まれずに生まれてくる犬や猫をなくすための不妊手術の奨励 ・飼い主の方への様々な呼びかけと啓蒙活動 ・迷い動物の治療および保護と里親さがし ・現行の動物保護法を真に効力のあるものにするための行政への働きかけ
■ARKメンバーの特典
・季刊誌「アーク」のお届け ・アーク主催の動物愛護イベントへのご招待 ・ペットケアに関する問題の相談受付 ・ペットの一時預かり(要予約) ・ご住居近くの、よい獣医師のご紹介

活動のための費用や医療費は、メンバーの方々の会費や寄付によって支えられています。不幸な動物たちをなくすために、皆様のご加入、ご支援をお待ちしています。
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