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動物をめぐる人びと
 
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こんなにもボクをくすぐる形ありどこから見ても猫であること
猫とともに現代社会に生きる「中年」の哀愁を軽妙洒脱な「短歌」に詠んで注目をあび、
現在、新聞や雑誌のコラムエッセイで活躍する、(自称)歌よみ・目医者の寒川猫持センセにインタビューしました。

寒川猫持(さむかわ ねこもち)さん
(自称)歌よみ・目医者。
昭和28年、大阪府生まれ。医科大学に学び、眼科医となって大阪で開業。無類のスリル好き、スピード好きで、いま考えて「レーサーが一番向いていると思うけど、如何せん、年でもう遅い」と断念。
37の手習いで短歌を始め、歌集『ろくでなし』『雨にぬれても』を自費出版して、注目をあびる。平成8年、文藝春秋より猫持秀歌集『猫とみれんと』を上梓。以後、新聞や雑誌のコラムエッセイなどで活躍。来春、新潮社より新刊の予定。

能登半島の猫はいい猫ですね

 僕は猫大好き。生まれてから、ほとんど猫と一緒に暮らしてますね。猫の良さを言えば、たとえば「形」。犬は体がかたいでしょ。猫は抱いたら、抱いたままの形になる。あれ、なんとも言えないでしょ。それに愛嬌がある。でも理屈じゃない。猫が好きだから、好きだとしか言い様がないんです。

 うちの「ニャン吉」は甘えん坊で、帰宅すると、かならず玄関まで迎えにくる。原稿書くときも、膝の上に乗せたまま書いたりしています。ニャン吉で面白いのは、お湯が好きなこと。あるとき、水をあまり飲まなくなった時期があって、試しにお湯をあげてみると、飲むようになった。それからはお湯ばっかり。水道の臭いがいやなのかもしれません。お湯はぴったし40度ぐらいが好きみたい。焼き芋だって熱いのを食べる。よく猫舌といわれますが、嘘だと思いますね。ところで以前、マタタビ酒を買ってきたときは、面白かったですよ。飲みたくて近づいてくるけれど、離れていく。何度もくり返してましたけど、最終的に飲まなかった。アルコールはだめですね。

 ニャン吉は20歳で、最近すこし足腰が弱ってきたけど、まだまだ元気です。よく犬や猫と人間との年齢比較表があるけれど、あれも嘘ですね。たとえば猫で20歳なら、人間なら100歳をとっくに超えている。でもニャン吉なんか自分の背丈以上の椅子に飛び乗るわけで、キンさんギンさんはそんなことできませんよ。安易に動物を人間に当てはめるのはいけないと思います。その最たるものは動物実験です。一緒じゃないですよ、絶対に。実験されるために生まれたのではないんだから。

 ニャン吉との出会いですか。昔、金沢に住んでいたとき、友人の彼女の家の駐車場の中で生まれたんです。捨てるというので、金沢から能登半島の羽咋市までもらいに行きました。それから何回引っ越したのか、長いつき合いで、引っ越し後2日ぐらいは押入の隅に入ったままで苦労しますが、あとは平気。適応力は高いですよ。…猫と地域性の関係ですか。人間なら大いにあるけれど、猫にはないでしょ。もしあるとすれば、能登半島の猫はいい猫ですね。

歌でも散文でも、「真実」を書かないと、
心に迫ってこない


 短歌は37歳のときに始めたんです。当時、ノイローゼがひどくて、それから脱出するためには何か他に興味を向けなければいけない、と。まず俳句を見つけて、同時に短歌をやりだしたんです。もっとも短歌は学校の教科書で読んだきりで、百人一首もまともに知らない。それだけに何かつけ込む隙があると思ったんです(笑)。俵万智さんが出て、彼女は女性だから、男性の席が一つ空いているのではないか、と。でも短歌を選んだのは一つの手段で、ほんとは文士になりたかった。いま、望みが叶いつつあります。

 とにかく、歌壇って、もともと相手にしていなかった。そのあたりを歩いている人に読んでもらって、「面白いな」と言ってもらおうと思ってました。短歌もエンタテインメントだから、楽しく読んでもらってなんぼの世界。でも「歌壇」の人にはそんな気、全然ないみたいですね。ちょうど現代詩が藤村や白秋みたいな、単純にして平易な「叙情」を排除したために、今じゃいるかいないかわからなくなったでしょ。短歌もそれと同じで、いつかだめになる。しかも短歌には「作り話」が多い。僕の歌は、全部「真実」です。自分の身に引きつけて本当のことを書かないと、心に迫ってこない。それじゃ読者に見透かされますよ。

 …「猫持」の由来ですか。俳人の寒川鼠骨が「鼠」に対して、こちらは「猫」だとか、万葉歌人の大伴家持に引っかけたとか言われますが、全然関係ない。ウチに姓名判断の本があったんです。本姓の寒川は決まっているから、次の字が何画かが決まる。調べると、その字画で好きな文字が「猫」しかなかった。その次の字も必然的に字画が決まってきて、「持」。それで「寒川猫持」に決めました。自分ではものすごく気に入ってますけどね。
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