![]() |
||
|
動物を創っていると、
無心になれる。
幸せやな。 本物の気配、存在感にみちる「動物」を創って評判の 「布の魔術」石川なつ子さんにインタビューしました。 |
|
![]() |
あのブルドッグ、どないしてますか もう12年ぐらいになりますかね。 うちの家が漆器のお店をしていて、ちょっとお店に置けばおもしろいかなと思って、野菜とかパンとかチーズとかを自分であれこれ工夫して創りだしたのが、今に続いてるんです。 あるとき、ふと出会った人がネコの好きな人で、家にいるうちのネコを創って、と言われて、それからいろんな動物を創りだしました。はじめはこんなに(と両手を広げて)大きなものばかりでしたが、倉庫に入りきらなくて(笑)。こんな犬1匹の箱に、小さいのやったら、30匹は入りますでしょ。お客さんも、大きいの希望する人もいるけど、小さいのやないと、家に収まりきれない、と。 おかしいのは、大きい犬創って、鎖つけて、本物みたいに置いといたら、お店に来た人が、「ちょっと恐いから、その犬、のけてください」って。 こんなこともありました。 以前、神戸の三宮で個展をして、そこのオーナーが大きなブルドッグ買うてくれたこと、ありました。すぐあとに阪神大震災があって、しばらくして、心配になって電話かけたんです。「あのブルドッグ、どないしてますか」って(笑)。そしたら、「健在です。家、つぶれましたけど」って(笑)。家はつぶれて気の毒でしたけど、ご家族もブルドッグも無事でよかったです。 |
ネコの不気味な感じを創りたい これまで世界中の動物200種類ほど創りましたけど、皆さんに好まれるのは、やはり犬とネコですね。可愛らしいの、ほしい、と言われるから、極力、可愛らしくしようと思ても、自分が恐いの、好きやから(笑)。…なんと言うか、「すごい恐いの、創ってしもて」と、皆に言われるんですけど、可愛らしいのやったら、おもちゃ屋さんにまかしといたらいいでしょ。恐竜なんか、本物のように創るから、かなり恐くなってます。 犬は、性格がわりと単純ですけど、ネコって、恐い部分、あるでしょ。自分が恐がりやから、その恐い部分を創ろうとするんです。でも、ネコの不気味な感じが出しづらいですね。とにかく「本物」を創るには、よう観察して…。たとえば、パンダでも、きれいな真っ白じゃなくて、汚れてるでしょ。だから、土つけて、その上を水で拭いたりして、汚れた感じを出していく。 作り方でむつかしいところですか。「染め」が命、ですね。白生地にぽんぽんと色を落とすと、広がっていく。その染め具合や色の位置がむつかしい。同じ色で創っても、ちごてくる。それが退屈しない、というか、おもしろい。ほんと、なかなか思ったような、動物の顔になってくれないんです。動物の中身は、脱脂綿。しめれば、しめるほど固くなって本物みたいになっていきます。 それから、髭は、釣り糸のテグス。眼はボタンと染めた布。毛のほしい動物には羊の毛を使います。あぶらのついた、べとべとの原料を仕入れて、モノゲン入りのぬるま湯につけて、そのあと、洗いまくって、乾かして、袋につめて、使うときに色を染めて…。こんなの、これまでだれも創ったことがなかったから、ひとに聞くわけにいかないし、自分でなにがいいかな、と材料売ってるとこを探し回って、あれこれ工夫して創ってきました。 なんと言うか、わたし、これ、創ってるだけで楽しい。漆器の商売やってると、いろいろ挫折することもあるでしょ。でも、息つめて、動物創っていると、わずらわしいことも考えずに、無心になれる。無心に創ってるわたしの気持ちが動物に通じて、またそれを買っていただいたお客さんにいろいろ感じてもらえたりして…。最近、そういうことに気がついて、それが幸せやな、と。 |
| Top of page ▲ |
| << [前の記事] | [HOMEへもどる] | [次の記事] >> |