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愛犬ニホとともに、
新たな出会いの旅が始った 愛犬ニホとの感動的な旅をまとめた『犬連れバックパッカー』の著者 斉藤政喜さんを八ヶ岳のご自宅にたずねました。 |
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ニホを眺め、目と目が合うだけで幸せだった、 初めての旅 ぼくはこれまでバックパックを背負って、たったひとり、自由きままに旅をしてきました。でも、3年あまり前、ニホと出会ってから、ニホとの「犬連れ旅」に夢中になってしまいました。 ニホとの旅でいちばん印象深いのは、大阪でニホと出会ってから、八ケ岳の麓の自宅まで帰ってきた最初の旅です。 ぼくは高校卒業するまで故郷で犬と一緒に暮らしていました。でもその後東京に出て、都会でのアパート、マンション暮らしばかりだったので、犬は飼えませんでした。しかし八ヶ岳の麓で田舎暮らしを始めたので、犬を飼うことに決めました。そして、個人情報売買誌で大阪のブリーダーから生後6ヵ月のゴールデン・レトリーバーを譲ってもらうことになり、大阪まで引き取りに出かけたんです。でもそのブリーダーがひどい人で、はじめて会ったとき、ニホはキツネみたいにやせて、尻尾も垂れたままだったんです。訴えるような眼差しでぼくを見つめるニホがいとおしく、ぼくは「心配するな。一生面倒みてやる」と、ニホを強く抱きしめました。 そのあと、ぼくとニホは、バックパックとニホが疲れたときに乗せるベビーカーを持ち、大阪の友人の車で愛知県岡崎市付近の矢作川まで送ってもらいました。その日は、矢作川の河原にテントを張り、すぐに野宿。夕食を済ませたあと、ニホはぼくにぴったりと体をすり寄せ、ぐっすりと眠りました。ニホの温もりが伝わってきて、ぼくはとても安らかな気持ちでその夜をすごしました。 翌朝、テントを撤収して、国道1号線を東へ。道路は車が多く、風景も単調で、人とふれ合う機会もありません。でも、ニホを眺めているだけで、ぼくは満足できました。犬と旅するって、本当に幸せなことなんだなって実感したんです。ニホが疲れたようなので、ベビーカーに乗せる。ぼくが下を向くと、ニホも顔をあげて、目と目が合う。それだけでほんとうに幸せでした。 |
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胸にジンとくる素敵な出会いを経験できるのも、 ニホとの旅だから その後も、ぼくはニホを連れて全国各地を旅しました。 ニホと旅すると、ひとり旅の良さを楽しみながら、新たな感動と満ち足りた心を味わえます。そして、これまで出会えなかった人たち、犬好きのおじさんやおばさん、子どもたちや女子高生など、いろんな人たちと出会うことができます。 面白いのは、旅のとき、ぼくとニホの興味の対象がちがうこと。たとえば山道を行くとき、ぼくひとりだと、沢か尾根か、ブッシュか、どんなルートで歩いていこうか、ということに心が奪われがちです。あるいは、この道の向こうはどうなっているのか、今夜はどこで野宿しようか、とか、先のことを考えてしまいます。でもニホにとっては、今日の予定や目的地のことなんか関心外ですよね。どこかにキジがいてガサゴソ音をたてれば、ピンと耳を立て、すぐに駆け出していく。また、けもの道を横切れば、立ち止まり、じっくりと臭いをかいで、どんな動物が通ったのか、調べている。なるほど、こいつはこんなことに興味があるのかと、新鮮な感動をおぼえます。 犬と旅するといえば、車を使うのが一般的でしょうが、ぼくはバックパッキングの旅が好きだから、ニホを連れた旅でも車をほとんど使いません。体格のいいニホは、汽車やバスに乗れないから、歩いたり、ヒッチハイクしたりするんですが、旅が思うようにいかないこともあります。でもそのおかげで、人びとのやさしさ、温かさにふれることも多いのです。たとえば、紀伊半島を旅したとき、紀伊半島の本宮大社から十津川温泉まで、犬の乗車が禁止されているはずなのに、若いバスの運転手さんは乗客に「犬が乗ってもかまいませんか」とたずねて、ぼくらを乗せてくれました。あるいは愛知県の国道153号線で、なかなかヒッチハイクできないぼくとニホのため、一緒に車が止まるのを待ってくれた女の子たちとおかあさん。そしてぼくたちを乗せるため、わざわざ道を引き返してまで乗せてくれた男の人…。そんな素敵な出会いを何度も経験できたのも、ニホと旅していたからです。 最近、ぼくはニホに次ぐ犬「サンポ」を飼い始めました。これからは二匹の犬連れバックパッカーとして全国各地を旅していきたいと思います。 |
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