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犬の喜ぶ表情は、この人がいないと撮れない テレビドラマやCM、映画や雑誌の撮影で活躍する、 犬の撮影コーディネーターの山本一さんと長女の英世さんにインタビューしました。 |
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クロは、飼い主役の役者さんを見ないで、 私を目で追ってばかり 一さん 私は、もともと犬の訓練所をやっていて、昔から映画やテレビ関係に知り合いがいて、頼まれると、うちの犬たちを出演させたりしていました。ところが、十八年ほど前、敷地の前半分に道路ができて、訓練所をできなくなったんです。それじゃ、テレビドラマやCM、映画、ファッション雑誌向けに犬たちを出演させる仕事をやろうかと、ワンワン総合企画をつくりました。 英世さん 小さいころ、うちにはシェパードが五十頭ぐらいいて、私は、犬たちのなかで育ったみたいでした。あのころのシェパードは、ほんと、素敵でした。かしこくて、守ってくれるみたいなところがあって…。でも、特定の犬だけ可愛がると、ほかの犬が嫉妬するから、と言われて、犬を抱いたりすることはできませんでした。でも、心のなかでは、自分の犬をきめていたりして(笑)。 一さん うちの犬は、この人(と英世さんのほうを見て)が来ると、みんな甘えられると思うから、大騒ぎする(笑)。 英世さん でも、撮影現場では、私の言うことをきいてくれる。父がちゃんと訓練しているから、なんだけど(笑)。 一さん たしかにこの人がいてくれて、助かることがあります。犬の喜ぶ表情は、この人がいないと撮れないんです。 英世さん 撮影のとき、父がカメラのうしろから「来い!」と呼ぶと、その犬は訓練中の顔付きになり、尻尾もふらず、真面目な表情で走ってくるので、映像がつまらなくなる。でも、私が呼ぶと、みんなうれしそうな表情で、走ってくる。 一さん 反対に困るのは、この人が拾って育てたクロの出番のときです。 英世さん クロは、飼い主役の役者さんを見ないで、うしろにいる私を目で追ってばかり。 一さん そんなときは、「おい、車のなかで待ってろ」と(笑)。実は、この犬は雑種で、すごく賢くて、NHKの大河ドラマなどの時代劇やCMなどに引っ張りだこ。うちの稼ぎ頭です(笑)。 犬も役者のひとりとして、 楽しく仕事できるとうれしいですね 英世さん 最初、私はこの仕事を継ぐ気はなかったんです。犬や人の表情あふれる写真が撮りたくて、カメラマンのアシスタントをしばらくしていました。でも、四、五年前かな、父と母が入院して、家の仕事は兄だけになりました。私はスタジオ撮影で朝から夜中まで仕事して、夜遅く帰ってくると、うちにいる二十頭の犬たちを散歩させる。とても両方つづけるのがきつくて、写真の仕事を中断しました。 一さん この人がスタジオ撮影のアシスタントをしていたんで、テレビや映画の撮影に行っても、ディレクターの考えを読みとって、手際よく犬たちの出演や休息の手配をやってくれます。 英世さん この仕事をして楽しいことですか。やはり、撮影スタッフの方が犬も役者のひとりとしてみてもらって、一緒に楽しく仕事できるとき。あるいは、子犬のとき共演した役者さんが、その後、その犬がテレビに出ているのを観て、「あの子、大きくなったな」、と言ってたという話を聞くと、うれしいですね。でも、いいことも多いけど、いやなこともありますね。 一さん スタッフの人たちが、犬を小道具にみちゃうときは、つらいです。犬好きの人も多いんだけど、役者さんに気を遣ったり、スケジュールがきつかったり、いろいろ理由があるんでしょうね。 英世さん とくに子犬を出演させるとき、まだ乳離れしてなくて、ワクチンを打ってない子を撮影現場につれていかなくちゃならないこともあるでしょ。そんなとき、「子犬が雨にぬれるシーンをお願いします」といわれると、体調をみて、ことわりたくなることもあります。仕事じゃなくなるんですけど、犬が大事ですから、後のケアに神経を使いますね。 *この記事は、2000年11月15日発行のものです。 |
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