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動物をめぐる人びと
 
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不幸な境遇の犬や猫たちが、
わたしを必要とするかぎり、
“生かされているんだな”と。

佐良 直美さん
(アニマル ファンスィアーズ クラブ主宰)

東京都生まれ。
日本大学芸術学部卒業後、「世界は二人のために」で歌手デビュー。二年後の一九六九年「いいじゃないの幸せならば」で日本レコード大賞受賞。歌手休業後、多くの犬や猫たちと暮らし始めた那須山ろくで、九三年から犬のしつけ教室「アニマル ファンスィアーズ クラブ(AFC)」を主宰。世界的なトレーナーの「集中セミナー」も開催する。優良家庭犬普及協会専務理事でもある。


愛犬「スー」と。

 わたしは、子どもの時から犬や猫をいっぱい拾って、彼らとの出会いと別れを何百回も繰り返し、それぞれつらい思いもしてきました。でも、彼らはわたしたちより寿命の短い動物ですから、これは飼い主の宿命です。別れがつらいから二度と飼わないという人もいますが、それはちょっと違うと思います。
 日本には不幸な動物が山ほどいますが、もし、日本の家庭で一頭ずつ飼えば、少なくとも犬に関しては、処分される子はいなくなります。結局、誰かが無責任な飼い主の尻ぬぐいをしなきゃいけないわけですから、彼らを最後まで看取ることは、飼い主の務めを果たしたということなんです。
 どの子たちにもいっぱい思い出があります。わたし、十年前に卵巣がんを手術したのですが、それを見つけてくれたのが猫なんです。ある時、眠っていると、その子が飛び降りてきて、わたしがうーんとうなっておなかを押さえたら、小さなしこりに触った。病院で、こんなに小さながんが見つかったのは、奇跡に近い、と言われました。その時、「あっ、そうか。この子たちがわたしを必要としているかぎり、生かされているんだな」と。
 わたし、優良家庭犬普及協会主催の里親探しをやっていますが、犬と飼い主さんとのミスマッチングが、いちばんの不幸の元です。だいたい訓練性能のいい犬は家庭犬には不向き。だから、いい犬でも、家庭犬に難しいのは里子に出さず、犬の訓練を楽しんでおられる方にお願いし、そんな人でも手に負えなさそうな犬はうちに置いています。 それから、このごろ、愛犬に甘がみされて、手とか傷だらけの飼い主さんが多いですが、原因は、子犬があまりに早く母親から離されて育つこと。少なくとも六十日、親兄弟と一緒に育てると、犬同士の遊びのなかで、どこまでかむと痛いか、しかられるか、体で覚えるんです。うちの「ガン」という子は、ほんとの野良で生後十か月ぐらいまでお母さんと一緒に育った“犬語の生き字引”。他の犬が近づいても、知らん顔して、自分のほうに攻撃性がないことを見せる。だから、犬慣れしていない犬が来ると、ガンに犬慣らしをさせています。とにかく、犬としてのマナーがとても良くて、食べ物をあげても、あーん、とゆっくり口を開けて食べる。やはり、人でも犬でも、“親に勝る教育者はいない”ということですね(笑)。
 家庭犬のしつけのポイントは、一つの方法だけをごり押ししないこと。これも水平思考で、オスワリさせるのにも、いろんな方法があります。それを一つのやり方だけやって、「これはダメ」じゃ、不勉強だと思います。しつけのインストラクターでも、“技術”を身につけた人でも、この犬が今、何を望んでいるかが見抜けないとね。それから、飼い主が何も言わなくても、犬のほうが、今、何をしたらいいかなと、自分で答えを見つけていく「フリーシェーピング」法でトレーニングすれば、愛犬の創造力が磨かれて、ほんとに素晴らしいですよ 。

*この記事は、2003年8月20日発行のものです。



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