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「犬は一年に四歳、年を取る」なんて聞くと、
切ない気持ちになりますね。

きらさん
(漫画家)

東京都生まれ。
1991年、『マーガレット』11月号にデビュー作「まっすぐにいこう。」を掲載。のち、同作品は『別冊マーガレット』で93年から2001年まで連載して好評を得る(現在、『コーラス』に掲載)。また、『YOU』に連載の「シンクロオンチ!」や「裁いてみましょ。」で新境地を開拓。愛犬「姫」&愛猫「お嬢」と暮らす。





写真上から、マメタロウのモデル犬「チャロ」、現在の愛犬「姫」、愛猫「お嬢」。

 わたし、小さい時から絵がとても好きで、友達とよく描いていました。漫画は普通に好きな程度で、高校の時に自分で買ったり、友達と回し読みしたり。プロの漫画家になろうなんて思ってもみませんでした。
 それが高三の時、力試しのつもりで投稿したら運よくデビューが決まり、編集部から「女の子が主人公のものを」と。わたし、そう言われると反発したくなる性格で…(笑)。当時、自宅では十歳ぐらいの雑種犬「チャロ」を飼っていたので、犬の独白、語りで高校生の恋愛話を描いてみたら面白いかなと、「まっすぐにいこう。」を描き始めました。犬の視点が入ると目先が変わるし、人間が言うと気恥ずかしいことでも、犬の台詞だとすんなり言えて、描きやすいんです。
 でも、最初はほんとに素人みたいな感覚で、“高校生”という限られた人生経験だけ。その後、八年間の連載の中で、いろんな経験をして、漫画の難しさ、奥の深さ、例えば、漫画って“絵”なんだけど、絵は“表現方法の一部”にすぎないといったことを学んできました。
 モデル犬「チャロ」は十四歳の時、老衰で亡くなりました。その少し前に、一人暮らしを始めたのですが、とても寂しくて、ミニチュア・ダックスフンドの子犬「姫」を飼 うことにしました。最初の一年、自分で育
てるからには、自分の犬だけは賢く(笑)、みたいな思いが強く、「犬はケージの中に」とか「鳴きグセがつくので、鳴いても出さない」とか、しつけ本の通りにしようと懸命で、育児ノイローゼになりそうでした。
 本の通りにいかないことって、多いですね。例えば、子犬がそわそわしだして腰をかがめたら、トイレに連れて行くというのがありますよね。でも、「姫」はダックスだから足が短く、飼い始めのころ、アザラシみたいな“足ヒレ”状態で、本一冊分の高さが上がれない。だから、いつ、おしっこをしたくてかがんだのか見分けがつかなくて…(笑)。
 その「姫」も、もう七歳。食事をシニアフードに変えようかなという年齢で、動きも鈍くなって、急に年を取ってきました。前の「チャロ」が老衰だったから、もし寝たきり状態になったらどうしようかと、老後のことが心配です。今から考えても仕方のないことですが、「姫」を介護しなければならなくなったら、最期の期間だけでも仕事をやめて、付きっきりで世話をしよう、と。もし、仕事の締め切りと重なって“最期”を看取れなかったら、きっと後悔すると思います。テレビのCMで「犬は一年で四歳、年を取る」なんて聞くと、やはり切ないですね。

*この記事は、2003年11月20日発行のものです。



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