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動物をめぐる人びと
 
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犬が普通の生活の中にいる社会をつくること。
それが、わたしの理想ですね。

高倉はるかさん
(帝京科学大学 理工学部
 アニマルサイエンス学科講師・獣医師)
1971年、神奈川県生まれ。96年、東京大学農学部獣医学科卒業。同大学大学院博士課程在学中にアメリカに留学し、カリフォルニア大学ディビス校付属動物病院の行動治療科で研修。2000年より相川動物医療センターで行動治療科を担当する。02年10月、帝京科学大学理工学部アニマルサイエンス学科講師に就任。著書に『いぬのきもち』(幻冬舎)など。

愛犬「バディ」と。

学生たちも、ペット同伴で通学。

 バディ、こっちへ来て。そんなに騒いで…、反省しなさい!
 すみません。この子が愛犬「バディ」。去年の春から一緒にキャンパスに通っています。最初、学内を歩いているだけで、「犬だ、犬だ」と言われて大変でした。だから、学生たちが広場で遊んでいれば、「バディも入れてあげて」と積極的に広場で放して、走ってもらったり、ボールを投げてもらって拾わせたり。ほかの学科には犬にあまりなじみのない学生もいたので、「絶対かまないから、触ってごらん」と、デモ犬のようになでてもらったりしていました。
 バディは、授業中、教室をうろうろして、学生たちの持ち物をチェックしたりしていましたが、最近は飽きたのか、授業が始まるとすぐに寝て、終わる三十分ほど前にわたしのところへ来て、「もう帰ろう」と(笑)。
 わたしの所属する「アニマルサイエンス学科」は、開設後まだ三年ですが、コンパニオンアニマルと野生動物分野の専門家がそろっている、他の大学に例のないユニークな学科です。担当のコンパニオンアニマル分野では、生態学など学術的な知識と、現場での実際的な知識・技術の修得をめざしています。例えば、犬や猫の問題行動の治療では、飼い主の身近なところで日常的なしつけ指導や飼い方アドバイスを行うなど、獣医師以外の役割がとても大きいんです。わたしは、そうしたきちんとした知識と技術を持つ、コンパニオンアニマルの専門家となる人材を育てたいと思っています。学生たちは、みんなすごくやる気があって、動物がとても好きな人たちばかりなので、これからが楽しみです。まだ少し能力がついていかないんですが…(笑)。
 ただ、彼らが将来、動物にかかわる職業につきたいと願っていても、仕事は動物看護士やペットショップ勤務ぐらいしか思いつかない。でも、動物を取り巻く仕事って、例えば、犬や猫にかかわるグッズを開発する企業やマスコミ関係など、たくさんあります。特に行政関係では、公園にドッグランを作ったり、ペットと一緒に生活できる老人ホームを造ったりする時に、専門知識・技術のある人がどんどん入っていけば、犬にとっても飼い主にとっても、もっと快適な空間がつくれるはず。それに町役場や市役所、普通の会社に就職しても、愛犬を連れて出勤できるようになれば、訪問者も職場の人もお互いの距離が縮まって、すごく和むと思います。
 わたしの理想は、犬が普通の生活の中にいる社会をつくること。もちろん、どんな犬でもいいわけではありません。人間社会に受け入れられる“いい犬”が増えることが大切です。社会に役立つ犬が増えるのもいいのですが、それだけじゃなくて、ペットとして飼われている犬たちが“市民権”を得られればいいな、と。そのためにも、この学科の卒業生が世の中で活躍して、地域でも職場でも家庭でも、人と一緒に暮らせる“いい犬”を育てる手助けをしていってほしいですね。

*この記事は、2004年1月20日発行のものです。



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