ペットのための快適生活情報P-WELL
HOMEへもどる
 
動物をめぐる人びと
 
バックナンバー

シュガーとの出会いは運命。その運命を甘受して、
シュガーにおぼれるように生きてます(笑)。

宇都宮 直子さん (ノンフィクション作家)
神奈川県在住。
『神様がくれた赤ん坊』でノンフィクション作家としてデビュー。以後、終末期医療やいじめなど“命”にかかわるテーマで作品を発表し続ける。愛猫シュガーとの暮らしをきっかけに、動物と日本人とのかかわりについて関心を深める。主な著書に『神様がくれた赤ん坊』シリーズ、『人間らしい死を迎えるために』、『だから猫と暮らしたい』、『ペットと日本人』、『犬の大研究』など。

愛猫「シュガー」と。

愛猫との楽しい生活がつまった「だから猫と暮らしたい」<講談社>(左)とペットブームの裏側に迫る「ペットと日本人」<文春新書>

 わたし、小学校のころから「物語を書く」人になるのが夢でした。でも東京でOL生活を始め、結婚して専業主婦に…。その後、妹がダウン症の赤ちゃんを産みました。とても重篤な状態でした。わたし、姪が大好きで、先のことが分からないのなら、せめて、本当に大切な存在であることを形に残したくて、『神様がくれた赤ん坊』を鉛筆で手を真っ黒にしながら書いたんです。その、書かずにいられないという思いが読者の方に伝わったのか、大きな反響をいただきました。

 それから、終末期医療をテーマにした『人間らしい死を迎えるために』をまとめたのですが、取材で親しくなった末期がんの患者さんが次々に亡くなっていくという状況に心が疲れ果てた時がありました。 そんな時、ペットショップでかわいいチンチラの子猫に出会って一目ぼれしました。その子が「シュガー」です。わたし、猫が大好きで、子どもの時、家には野良出身の猫がたくさんいました。でも結婚後はアパートやマンション暮らしで無理。シュガーと出会った当初も、人目を忍んで暮らしていました。それが、最近気づいたのですが、このマンション、実はペット飼育禁止じゃなかった(笑)。

 とにかく、“捧げ尽くす”ぐらいにシュガーのペースに合わせて暮らしていて、夫は「シュガーが死んだりしたら、どうなってしまうのか」って。動物を飼ってる人はよく「運命の出会い」と言われますが、やはりシュガーとの出会いは運命だったし、その運命を甘受して、シュガーにおぼれるように生きてます(笑)。

 そんなシュガーとの出会いと暮らしのことを、ちょっと書いては抱きしめる、みたいに書いたのが『だから猫と暮らしたい』です。また、シュガーのおかげで、犬や猫と日本人とのかかわりを調べてみたくなり、歴史的な背景から、ペットブームの裏側にある「処分」や「ペットロス」などについて取材し、『ペットと日本人』にまとめました。

 ペットロスになるのは、お子さんがいる家庭の、仕事を持たない主婦の方も多いですね。家族の中に心のよりどころがなくて、猫や犬に過剰な思いが行くという…。本当に幼子みたいに愛していて、その子が亡くなると耐えがたい。でも、それは自然な感情だと思います。わたし自身、もしシュガーが、と考えるとたまらないですが、その時は、受け入れがたくても受け入れなければ仕方がない。だから、後で後悔しないように、精一杯慈しみたいと思っています。

 「処分」については、飼い主に捨てられた犬や猫たちの目を見て、自分の無力さを痛感しました。だから、犬や猫がかわいい、かわいいだけじゃなくて、そんな現実があることを子どもたちに知ってもらい、どうしたら人と動物が幸せに暮らせるのかを考えてもらいたくて、今年、『犬の大研究』を児童書として出しました。

*この記事は、2004年5月20日発行のものです。



  Top of page ▲
<< [前の記事] [HOMEへもどる] [次の記事] >>