人間の勝手な都合で捨てられた犬たちが、幸せになるまでを記したノンフィクション/幻冬舎
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そこに寝ている「ジョアンナ」は元野良の母犬で、保護した時、ひざの十字靭帯断裂で片足をブラブラさせながら、マンションのベランダの下に穴を掘って子育てしていました。ここに来て6年。本人は僕の補佐役のつもりで新入りの面倒をみています。本当は、新入りが騒いで、とばっちりで自分までしかられるのが嫌なだけかもしれませんけどね(笑)。
家にはいつも20頭ほどがいます。僕が仕事で出かける日は、ボランティアが交代で世話をしてくれます。その周りには、里親が見つかるまで1、2頭ずつ預かってくれる保護家庭や、“卒業犬”を引き取ってくれる里親家庭、僕たちの活動を支えてくれるサポーターがいる。この14年間で、卒業犬は1500頭ぐらい。里親にはその犬の状況を説明して、こんなふうに育ててください、とお話ししますので、みなさん、大切に飼ってくれます。大変なことも多いですが、いい仲間がたくさんできて、楽しいから続けてこられたんでしょうね。
僕たちが保護活動にかかわるのは、年間2000件ぐらいです。もちろん、動物虐待があるとか、野良犬を保護したいけど捕まらないとか、重病・重傷の犬がいるとかの連絡があれば、僕が対応します。動物虐待や災害などの場合、誰か先頭に立ってやらないと、誰もついてきませんから、最初に手を挙げてやるってことが大切なんです。
でも実際、ほとんどのケースは、「迷子犬を拾ったんだけど、引き取ってくれませんか」という依頼です。様子を聞くと、「うちの犬と遊んでる」。「それなら、元の飼い主が見つかるまで預かってください。もし、世話ができないようなら、こちらで引き取ります」。そんなセーフティネットさえ張っておけば、みなさん犬好きで拾ってきた人ばかりだから、安心して面倒をみてくれます。一生面倒みなきゃとか、病気でお金がかかるとかの不安があるから、保護できないんです。
自分で迷子犬や捨て犬を保護して、1、2週間もたつと、誰でも情が移る。「どうですか」と聞くと、「いい子だから、こちらで里親を見つけたい」。そんな人がいると周りの散歩仲間でも、保護した犬を世話するのが常識になってくる。僕たちが救えるのは目の前の1頭、1頭。1000人、2000人の人たちが毎年1頭でも保護すれば、大きな力になります。
ほんと、世の中にはいい人が多いですよ。僕の本を読んだ夫婦が「こんな山の中に猟犬が捨てられているんだな」と話しながら愛犬とドライブしていて、カーブで捨て犬を発見。保護したケースもあります。高速道路で路肩をトコトコ走る犬を見つけ、ハザードランプをつけて停車し、高速警察隊に連絡。片側三車線を封鎖し、その犬をインターチェンジまで追い込んで保護した人もいます。その人は、犬を飼ったことのない、ごく普通の人。でも、捨て犬と目と目が合って、「この子はわたしが救わなくちゃ」。普通の人の、そんな思いを大切にしていきたいですね。
*この記事は、2005年12月20日発行のものです。
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