猫が取り持った縁で結婚した2人と、2人の生活に積極的に参加する猫を描いた恋愛小説/角川文庫
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子ども時代、自宅に犬や猫はいなかったのですが、ずっと猫と生活したいとあこがれていました。でも、東京での学生時代はひとり暮らしの住宅事情もあって難しく、アメリカに行ってから、動物愛護協会で引き取り手を求めている猫をもらってきて、一緒に暮らしていました。
その猫「モナカ」は元野良の、大きなメインクーン系の雑種で、しっぽはキツネみたいにふわふわしていて…。やっぱりかわいいですね、猫は。一緒に寝てくれるし、いるといないとでは大違い。一時は、わたしの猫2匹に、わたしが居候していた家の犬と猫、全部合わせて7匹くらいいて、にぎやかでした。犬や猫のおかげで、数段、生活が豊かに楽しくなった感じですね。
アメリカでは、モナカの前に、「タマ」という猫とも暮らしていました。その子が亡くなったことが、わたしが小説を書くようになったきっかけでした。わたしが愛したタマが登場する作品を、あくまでもフィクションとして書こう、と。猫の死が悲しいのはもちろんのこと、時を経て、その猫を忘れてしまうのはさらに悲しいと思っていたのですが、小説の中でタマはずっと生き続けてくれるから、と信じて執筆したのが『ヨモギ・アイス』です。
当時はアメリカで暮らし始めたばかりでまだ英語も上手じゃなかったし、働きたくても働く場所がなく、自分は何をして生きていけばいいのか…と、迷いの多い時期だったので、わたしが小説を書くよう、タマが背中を押してくれたのかもしれません。
その作品の主人公のモットーは“doing nothing”なのですが、猫って、本当にそうですね。のんびりマイペースで、自分の世界を大切にして生きている。盲導犬とか警察犬とか世の中の役に立って大活躍している犬もいるのに、警察猫なんていない(笑)。
例えば『参加型猫』は、猫の生活パターンや行動について、常日ごろ、不思議に思っていることを余すことなく表現してみたい、と思って執筆した作品でした。
猫に対する感謝の気持ちが、わたしの場合、小説を書くモチベーションになっているかもしれません。
わたし、猫が死ぬ時には、あれもしてあげれば良かった、これもしてあげれば良かった、わたしじゃない誰かと暮らしていたら、もっと幸せになっていたかもしれないと考えて、心の中で「ごめんなさい」と謝りたいような気持ちになります。すると、猫のほうが「大丈夫、許してるから」と伝えてくれる瞬間があって、すごいなと感じます。じっとわたしを見て「いや、十分でした。楽しかったよ」と目で訴えてくれているような。思い込みだと言われると、それまでですが(笑)。でも、やっぱり、長く一緒に暮らしてきた動物と人間って、言葉を越えて、真心を伝え合う瞬間があると思っています。
*この記事は、2007年6月20日発行のものです。
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