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動物をめぐる人びと
 
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そのころは僕らも飢えていて、猫にエサなんかやれる能力なかったから、
「お前、勝手に食ってこい」と(笑)。

秋野 亥左牟さん(画家・絵本作家)
1935年、京都市生まれ。東京藝術大学彫刻科中退。62年、母(秋野不矩)とインドへ。のちにネパールへ移り、絵本『プンクマインチャ』(大塚勇三再話/福音館書店)の原画を描く(第2回世界絵本原画展金牌受賞)。以後、モロッコ、メキシコを経て、カナダへ移る。八重山諸島で漁師生活ののち福山へ。現在、兵庫県赤穂郡在住。著書に『たこなんかじゃないよ』『とうもろこしおばあさん』(以上、秋野和子文・再話/福音館書店)、『イサム・オン・ザ・ロード』(人間家族・特別号)など多数。

秋野さんと「ねこ」


ひきたま&ドゥンドゥンサラサのCD「Merci マタハリ」のジャケットに描かれた秋野亥左牟さんの作品

 僕は京都の真如堂で生まれましたが、お袋が猫好きでいつも2、3匹いて、ひところ、1ダースぐらいいたこともあります。1ダースいるとすごいですね。エサをやると、ワァーと集まってきて、食べるとサッといなくなる(笑)。あとは放ったらかしでした。

 インドにいた時、毛足の短い野良猫を見かけました。彼らは、この家とこの家はおれの領分、と自分のテリトリーを持っている。犬もそうですね。犬は1グループ20から30頭で、向こうにも別のグループがいて、境界線で戦争する。ベンガル湾岸の町プーリーにいた時、お袋と僕が借りていたコティッジの辺りがあるひとつのグループのテリトリーで、時々エサをやるから、僕が海岸線を散歩すると、みんなしっぽを立ててついてくる。それで、境界線へ行くと、別のグループが待ち構えていて、メス犬を先頭に相当きつい戦争をやりましたね。

 僕がカナダにいた時、メスの白黒のブチ猫がいました。そのころは僕らも飢えていて、猫にエサなんか、全然やれる能力がなかった。だから、「お前、勝手に食ってこい」と(笑)。子どもができると、やはり親猫はお乳を出さないといけないし、鳩を捕ってきますね。もう家中、羽だらけで…。それに、シェパードを飼っている友だちが来ると、子猫がいるから犬の鼻を引っかいて、シェパードが飛んで逃げる。猫のほうが強いですね。

 カナダに7年暮らし、インドを旅したあと、沖縄の八重山諸島で16、7年、漁師をしながら絵を描いていました。そして、広島県の福山に移ったのですが、その家はネズミが多くて、毒殺するのが嫌なので、猫を飼うことにしました。それがこいつで「ねこ」といいます。それがね、いきなりヒヨドリを2羽捕って、「こいつ、見込みあるで」と。飼いだしたらネズミはいなくなったんですが、ほんと、鳥を捕るのがうまいんです。ちょうど1年前にこっち(兵庫県赤穂郡上郡町)へ引っ越してきて、僕が玄関のところにいたら、ヒヨドリが飛んできて、降りたところをパッとジャンプして捕まえた。

 猫は対等ですね、人間と。どっちかと言えば、向こうのほうがちょっと上(笑)。エサをやる前、ニャーニャー言うけど、エサを食ったら知らん顔してどこかへ行く。それがいい。

 僕、猫も好きですが、一番好きなのは虎です。ネパールのカトマンズにいた時、毎年11月になると、獲物を捕れない老虎が町に現れて老人や子どもを襲う。ある年、町で人を襲った老虎が王さんの狩猟林に潜んでいるというので、兵隊がライフル持ってジープ2台で狩りに行き、僕も一緒に行きました。すると、老虎が50メートルほど向こうの松林をゆっくり歩いてくる。こっちでは兵隊がライフル持って、ぶるぶると震えてる。僕もオシッコ、ちびりそうになりました。すごいですね。結局、その日は全然手が出なくて、ただ見送るばかり。その後、2、3日して仕留めたという話でした。

*この記事は、2007年1月20日発行のものです。



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