(上)文庫版「ただのいぬ。」/角川書店
(下)06年9月開催の「Do you have home?展」 のパンフレット
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大学の時、知り合いの影響で僕も写真を始め、カメラ1台ぶら下げてアジアを旅していました。卒業後1年間、写真を撮りにアイルランドと旧東欧へ。帰国後、別の知り合いに週刊誌の暗室マンの仕事を紹介され、徐々に現場へ出て、5年間カメラマンをやっていました。その最後、編集者に「関西の動物愛護センターに子犬が100頭ほどいて、1週間でもらわれないと処分される」と言われ、写真を撮りに行って記事を作ったんです。それがすごく反響があり、週刊誌として異例ですが、2週連続で同じネタの記事を掲載しました。
すると出版社2社から書籍化の話をいただき、そのひとつ「ピエ・ブックス」の編集者が面識のある人で、みんなすごくこだわって、01年12月に『ただのいぬ。』を出版しました。写真集のため、僕は新たに九州方面の動物愛護センターを回って撮影。担当デザイナーの小山奈々子さんに写真に詩を書いてもらい、タイトルは「ラーメンズ」の小林賢太郎さんがつけてくれました。この犬たちは、譲渡を待つ「無料」の犬だけど、名前も飼い主もいない「ただの犬」。それを聞いた瞬間にすごいなと。
3年後、たまたま写真集を見た世田谷文化生活情報センターの方から、写真展のお話をいただきました。僕もモノを作る人間なので、普通の写真展ではつまらない。そこで会場を三つに区切り、一つは写真集の犬たちの部屋。その奥が二つに分かれ、左がセンターから譲渡され、幸せになった犬たちの「明るい部屋」。右が処分されてしまう犬たちの「暗闇の部屋」としました。そこで動物愛護団体の協力を得て、センターから一般家庭に譲渡された犬たちを新たに撮影。また、センターで処分を待つ犬たちの1日を追い、最後、ドリームボックス(処分室)に入れられたあとの空っぽになった部屋、慰霊碑と花束などの写真を展示しました。
05年9月開催の写真展はすごい反響があり、来場者5000人のほとんどが号泣し、アンケート用紙も2000枚。みなさん、びちっと書いてくれました。
実は僕、あくまで犬の側の視線で、あの子たちが例えば「あ、誰か来た。遊びたい」みたいな、犬が犬として、ありのままに“その場”にいることしか撮っていない。それが哀しく見えるのは、犬たちに見られている人間社会が“鏡”になって写っているから。もしあの写真を見て、哀しい、オカシイと思うなら、犬たちは変えようがないから、そう思う僕たち自身が現状を変えていかなければ…。極論を言えば、1年に“処分”される約16万頭の犬を、1か月後にはゼロにできる。単純な話で、犬とかかわっている人が誰ひとり犬を手放さなければいい。彼らを生かすか、殺すか。その選択を、今の日本の社会が迫られているんだと思います。
*この記事は、2007年3月20日発行のものです。
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