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春は、引っ越しのシーズン。
人間だけでも大変なのに、ペット連れとなると、さらに不安が次々と…。
そこで、愛玩動物飼養管理士や獣医師などの専門家に、
ペット連れの引っ越しについて注意すべきポイントをお聞きしました。
また、ペット連れの引っ越し経験のある飼い主さんの体験談も、ぜひ参考に。
人にもペットにも、ストレスの少ない引っ越しをしたいですね。


NPO法人 Knots代表/愛玩動物飼養管理士
冨永佳与子さんに聞く


 引っ越しとなれば、人間のほうも心穏やかではいられません。いろんな準備が次から次へと頭に浮かぶことでしょう。しかし「よし!」と、動き出す前に、ちょっと深呼吸して、隣であくびしているペットたちの新しい暮らしにも、思いをはせてみてください。 人間よりも多くの時間を家ですごす彼らにとって、そのすみかがまったく変わってしまうことは、人間以上に影響がありそうです。

●移動の手段は?
   まず、どんな手段で彼らを運ぶのか。
マイカーか、それとも飛行機や電車など、 他の輸送手段が必要か。

●掃除や片づけの間の世話は?
   引っ越しの掃除や片づけの間、ペットはどうするのか?ケージに入れて自宅に置いておくのか、だれかに預けるのか。

●パニックにならないか?
   いつもと違う家の様子に、興奮した愛犬が、引っ越し屋さんにほえ続けたり、憶病な愛猫が逃げ出したりしないか。

●新しい環境になじめるか?
   転居先で、彼らは、新しい環境に すんなりなじんでくれるのか。 大切なのは、まず、彼らを連れての 引っ越しをイメージしてみること。そして、どの段階で何が必要かを見極め、準備することが、人間にもペットにも、ストレスの少ない引っ越しの第一歩になります。 ペットの性格を知り抜いているのはあなた自身。彼らの行動パターンに合わせた、無理のないプランを立てましょう。

●わが家の場合…
  新幹線で一緒に行きました
松本真理さん&
ラッキーちゃん<ビーグル♀>
(東京都新宿区)
 私は、名古屋から東京に引っ越ししてきました。輸送方法はペットタクシーなども検討しましたが、新幹線に乗って一緒に行くことに。新幹線では手荷物扱いになります。窓口でお金を払いますが、料金はたしか270円でした。ただし持ち込めるのは10kg以内に限ります。
 進行方向の一番後ろで、時間帯は朝や食事時は避けました。それと、行く前の日にシャンプーをしました。わが家のわんはほえなくて、助かりました。  

●わが家の場合…
  ニューヨークへ!初の飛行機体験
富沢清香さん&
モコちゃん<M・ダックス♀>
(東京都新宿区)
 モコを連れて渡米しました。国際線は「小型犬であれば機内持込みOK」(機内連れの頭数やキャリーバッグの大きさは各航空会社で規定あり)だったので少し安心。NYまでは約12時間のフライトなので、水やおやつ(ガム)を持ち込み、飛行中たびたびバッグから出して水を飲ませました。バッグの中にも念のためトイレシートを敷いておきましたが、環境が違うのか、まったくしませんでした。
 ちなみに成田空港での検疫は事前に電話連絡しておくとよいです。引っ越し先での動物病院については、散歩で出会った同犬種の飼い主さんに、おすすめの先生を聞き回りました。口コミ情報強しです。  




 慣れた車で、慣れたケージに入り、飼い主と一緒に移動する。これが、 ペットにとって最も負担の少ない方法です。マイカーでの移動が可能なら、それがベスト。 しかし、場合によっては、公共交通機関の利用もあると思います。ペットの受け入れについては、各社で利用規定が異なる部分もあるので、必ず事前に問い合わせて、確認しておきましょう。
 また、最近では、ペットと一緒に乗れる専用タクシーも増えています。飛行機を利用する場合の、空港への移動手段としても便利です。
 いずれにしろ、ケージに入っての移動が基本となります。日ごろから、おとなしくケージに入っていられる習慣をつけておきたいですね。

>>主な公共交通機関でのペットの受け入れ規定はこちら

相手を思いやる“気持ち”
さえあれば、どんな犬や猫の
送迎だって大丈夫です。
都内を中心に
ペットタクシーとして活躍する
タウン・アニマル・ポーター
北村勇さん
 ご利用のお客様には動物病院通いの方が多いので、車内には万一に備えて携帯用の酸素ボンベなども積んでいます。もちろん、引っ越しのお客様もおられて、遠くでは岐阜県までお乗せしたこともあります。海外赴任や帰国などで、成田空港まで送迎することも多いですね。
 やはり、運転には気をつかいます。ちょっと乱暴な運転をすれば、もどしちゃう子もいますから。途中、こまめに停車して、様子を見ながら、オシッコや散歩、給水などをおこなっています。気がかりだからと、ほとんどの飼い主さんが同乗されます。
 この仕事をしていると、いろんな犬や猫に出会えるのが楽しいですね。もちろん、どんな大型犬でも大丈夫。先日など、椎間板ヘルニアで痛くて、ウーウー唸ってるドーベルマンのお客様がおられたんですが、おうちの前の道が狭くて、車を横づけできない。「ちょっと待ってください」と言って、そのワンちゃんと仲良くなってから、抱っこして玄関まで運びました。
 どんな子だって、うちはお乗せします。だって、みんな大事な家族なんですから。それに、どんな犬や猫だって、心のなかで、「いい子だね、かわいいね、おとなしくしてね」って思っていると、わかってくれます。“気持ち”の問題ですね。




さて、いよいよ転居先に到着です。
ペットたちにも、新しいすまいを、存分に探検させて
あげたいところですが、その前に…。

●床や壁に養生を
   とくに賃貸住宅の場合は、床や壁など、汚してはいけない場所の養生をお忘れなく。新しい環境に置かれたペットたちは、 ついつい粗相や マーキングをしてしまうことも。備えあれば憂いなし!

●ご近所にペットを紹介
  
引っ越しのときは、できるだけ、ご近所にペットたちのことも一緒に紹介。「慣れるまでは、ご迷惑をおかけすることがあるかもしれませんが…」と、あらかじめごあいさつしておきましょう。
初めての土地で、万が一、彼らが外に出てしまうようなことがあったり、新しい環境に慣れずに鳴いてしまったときなど、理解が得やすくなります。
そうした新しいお付き合いのなかで、信頼できる動物病院やショップ、お散歩スポットなどの情報を教えていただけるといいですね。

●愛犬の登録を忘れずに
   最後に、 忘れてはいけないのが、 犬の登録です。手続きについては、転居先の市町村(東京は区)の担当課に問い合わせてください。言ってみれば、愛犬の「住民票」。人間と同じように、届け出を忘れずに。
さあ、新しい生活の始まりです!


●わが家の場合…
  引っ越し前に家出して…
崎 知子さん&
ニャロメ君<MIX猫♂>
(岡山県新見市)
 1週間ぐらい前から引っ越しの準備をしていたので、何かが変わると感じていたらしく、引っ越しの3日前に、愛猫ニャロメが外に出たまま帰らなくなりました。引っ越し当日にも帰って来なくて…。
 でも、そのアパートはもう出て行かなければいけないので、泣きながらその場を後にしました。翌日もその次の日も、アパートに探しに来て、ちょうどアパートの玄関先に戻って来たニャロメと劇的な再会! 今も、大切な家族として一緒に暮らしています。再会できたときは、ほんとに涙、涙でした。

●わが家の場合…
  何度やってもやだぁ〜
富本貴子さん&
kem君、けむりちゃん
<ロシアンブルー♂&♀>、
キジちゃん<MIX猫♀>
(千葉県佐倉市)
 転勤族の家族になった3匹の猫(6歳)は、今までに5回も家が変わっています。箱に入って家族と一緒の車で引っ越ししますが、新しい家に行っても1週間近く飲まず食わずトイレにも行かず、箱の中から出て来ようとしません。
 箱から出てくるようになったら、まず水とマーガリンをなめさせます。トイレに行きたくなるようにして、その場所を教えるのです。車・電車・船の汽笛。人間なら気にならない音が、猫たちにとってはどれも初めての音。すっかり社交性のない猫になってしまいました。




獣医師/どうぶつ行動クリニックFAU(ファウ)
尾形庭子先生に聞く


 引っ越しとなれば、人間のほうも心穏やかではいられません。いろんな準備が次から次へと頭に浮かぶことでしょう。しかし「よし!」と、動き出す前に、ちょっと深呼吸して、隣であくびしているペットたちの新しい暮らしにも、思いをはせてみてください。 人間よりも多くの時間を家ですごす彼らにとって、そのすみかがまったく変わってしまうことは、人間以上に影響がありそうです。

●犬の場合
  移動に慣れていない子は、事前に練習を


 犬の場合、日ごろから移動用ケージで遠出したり、外泊慣れしているかどうかによって、 引っ越し対策も異なってきます。新居にも移動用ケージを使うことで、外泊と同じ感覚で受け入れられるでしょう。また、飼い主の存在、ケージなど、犬自身の周囲は一定なので、比較的早く順応するといえます。
 反対に、引っ越し直後から飼い主さんが留守がちだと、不安で、さびしくて、鳴いてしまうことも少なくありません。犬にとって“引っ越し”なんて理解不可能なことですから、当然といえますが、そんな状況を避けられないなら、念のためご近所にごあいさつして事情を理解してもらってください。
 とにかく、引っ越し後数日は、できるだけ家族のだれかが愛犬と一緒にすごせるようにしてあげてください。また、近くをあちこち散歩に出かけて、周辺環境に早く慣れる工夫をしてあげることも大切です。
 一方、外出慣れしていなかったり、留守番の苦手な犬の場合は、引っ越しの何カ月も前から、外出、外泊の練習や、留守番の練習をしてはいかがでしょうか。また、引っ越し後も数カ月ほどかけて、少しずつ留守番に慣らしていくことも必要です。
 すでに愛犬が分離不安()気味であったり、鳴けば飼い主さんに来てもらえるということを学習していたりすると、事態は複雑です。かかりつけの動物病院でよく相談されたほうがいいでしょうね。
 また、環境の変化に弱い高齢の犬や、実家を離れてひとり暮らしを始めたり、結婚などで新しい家族が増えるなど、引っ越し以上の変化がある場合は、愛犬が新しい環境、新しい家族になじむまで、余裕をもって計画してください。

※分離不安:飼い主との密着度が高すぎ、その人と離れると犬が過剰な不安を持つこと。


●猫の場合
  時間をかけて新しい環境に慣らす

 猫の場合、もし愛猫が引っ越しのドタバタや人の出入りに驚いてどこかへ逃げてしまったら大変なので、なじみの動物病院やペット ショップなどに一日、二日預けておき、引っ越し後に引き取るのも一つの方法です。自宅に残す場合は、猫のよく使うスペースは、できるだけ引っ越し当日まで、そのまま確保してあげてください。
 しかし、猫にとってさらに災難なのは、引っ越し後でしょう。新しい環境に移ると、猫は、たとえ飼い主さんがそばにいても、ナーバスです。
 そこで、愛猫の部屋を決めると、そこに食事と水とトイレの場所を確保し、ケージの扉を開いたまま、まずその部屋に慣れるまで何日か留めておきましょう。自分の部屋に慣れたら次の部屋、そこに慣れたら別の部屋と、少しずつ、猫が自分の興味で探検しながらなわばりを広げていくのを、辛抱強く待ってください。
 新居への不安、なわばり確認のために、この時期の尿スプレーもめずらしくありません。動物病院で入手できるフェロモン剤は尿スプレーを軽減し、猫が環境に慣れる助けになるでしょう。
 それから、たとえ外出自由の愛猫の場合でも、引っ越し後しばらくは外出をストップしてください。見知らぬ環境に飛び出ると、帰り道がわからなくなったり、近所の野良猫や外猫に追いまわされて行方不明になったりすることも少なくありません。
 また近年は、交通事故や感染症、近所迷惑などの心配もありますから、引っ越しを機に室内飼いするのが賢明かもしれません。

*この記事は、2003年2月20日発行のものです。


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