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縁あって、共に暮らすことになった愛犬。
お互いもっとコミュニケーションを深めたい。
うちの子のもっといきいきした姿・表情を見てみたい。
一緒にもっと人生を楽しめたら…。
今回は、そんな飼い主心を刺激する、
ドッグスポーツの数々をご紹介。
あなたも、ワンちゃんと熱く燃えてみませんか!?
 

フリスビー
空高くフリスビーが舞い、犬たちがジャンプする

JFA代表・山田さん

 暖かな日差しがきらめく瀬戸内海をのぞむ、岡山県笠岡市神島で、早春の土・日二日間、「JFA(日本フリスビードッグ協会)公式戦IN笠岡なびっくランド」が開かれた。
 大会二日目は、風雨の前日とは一変した快晴。午前九時、さまざまなテントがびっしりと取り囲む競技コートでは、まず公式オープン選手権第一ラウンドが始まった。朝日を背に、フリスビーを持った飼い主と愛犬とがスローイングライン中央に立ち、スタンバイ。「レディ、ゴー」の声とともに、まず愛犬が一目散に駆け出した。一呼吸おいて、飼い主がフリスビーを思いきり投げる。風を受けて上空を飛び去るフリス ビーに追い抜かれた犬は、着地点を見定めたように全力疾走し、上空で失速しながら落下するフリスビーめがけてジャンプ。見事キャッチして着地した。

コートは、25m×52.5mの広大さ。
見事なジャンピングキャッチ!

 まわりからわき起こる拍手と歓声の中を、フリスビーをくわえた愛犬が、飼い主のもとに駆け戻り、すぐに二投目めざして、スタートした。
 各ペアの持ち時間は一分間。その間に、何投でき、何ポイント獲得できるかを競い、フリスビーのキャッチポイントまでの距離とキャッチ態勢、地面 に足が(何本)着いているかによって、得点が変わってくる。
 何よりも、投げ方の上手下手が決め手となる。微妙に変化する風の強さと方向を読めず、コースアウトしたり、浮上することもなく、失速したりして、ひたすら愛犬にあやまっている飼い主も少なくない。後ろで応援する家族や友人たちも、一投ごとに、文字通 り一喜一憂で、大騒ぎ。つい子どもたちから「お父さん、あせらないで!」と声が飛ぶ。
 でも、競技が終われば、どの家族も愛犬を囲んで、善戦、健闘をたたえあう。和気あいあいのファミリースポーツが、フリスビードッグの原点である。
 大会を運営するJFA代表の山田仁さんは、
「ルールに則って、きちんと楽しく遊べる人たちがすばらしいので、ポイントを競うのは二の次です」と言う。
 山田さんによれば、現在、JFAの競技会は年間、全国で約百二十大会(公式戦は九十日間)で、参加者は延べ一万七千ペアほど。毎年、二割ぐらい参加者が増えているとか。なお、JFAが結成されたのは九年前。
 家族みんなで、もっと、もっと犬の持ってる能力を引き出して遊べたら、犬も人もストレスが解消できるし、愛犬との生活の楽しさにめざめたら、捨て犬だってもっと少なくなる。それに、スポーツを通 じて、飼い主側のマナーが向上すれば、犬を連れて出入りできる場所も少しずつ増えていく、と山田さんはJFA運営の思いを語り、こう付け加えた。

 「それに、あちこちの大会に参加して、テントを並べて楽しんでいると、“向こう三軒両隣”じゃないですけど、いろんな人や犬と親しくなります。失われた日本人の古きよき“情”というものが、犬を通 してネットワークできるような気がするんです」


楠戸晴美さん
愛犬テンポイント&サラ&タキ
(岡山県倉敷市)
「テレビで観て楽しそうだったので、インターネットで検索したら、近くで大会があり、去年の年末から来るようになりました。はじめは見るだけでしたが、これから少しずつ競技にも出ていきたいですね」
 
西内勲さん
愛犬ジュリア&アニー
(広島県安芸津町)
「犬好きの方とたくさん知り合え、いろんな犬種と出会えるのが楽しいですね。去年六月から参加して、西は北九州の門司、東は兵庫県の播磨や神戸まで四回。今年は、楽しさもわかってきたので、もっと出よう、と」
畠中弘子さん&愛犬ハッピー
(岡山市)
「ご近所にフリスビーされてる方がいらしたので…。犬と一緒に楽しめるし、いろんな方と友だちになれるのがいいですね。投げるのが難しいので、上手な人の投げ方を見せてもらったり、教えてもらったりしています」

アジリティ
“絆”がキメ手の障害物競走

「ハードル」「タイヤ」「ドッグウォーク」など、 ハンドラーの指示で、次々と障害をクリアしていく。
 アジリティは、一緒に走る人(ハンドラー)の指示に従って、犬がいろんな障害物を決まった時間内にクリアしていく競技。使用する障害は、犬の持つ本来の特性、能力を引き出すように作られていて、たとえば「ハードル」は、犬がジャンプが好きという特性をいかしたもの。「トンネル」や「タイヤ」などのくぐる動作は、森の茂みなどを思わせ、犬のなかに眠る野性の感覚を刺激する。「シーソー」や「スラローム」など難度の高い物もあり、クラスごとに使用する障害は異なってくる。
 ドッグトレーナーでもあるOPDES副理事長の益田晴夫さんは、「私のところではしつけ教室もやっていて、それだけで満足する犬もいますが、『もっと人とコミュニケーションを深めたい、もっと人の手助けをしたい』と思う子もいます」と。そんな犬たちの気持ちを満足させられるスポーツが、アジリティといえる。
 トレーニングを始める前に、まずマスターしたいのが「マテ」や「コイ」などの基本的なしつけ。リードを外して行動するので、これらができないと先には進めない。実際のトレーニングは、用具が必要なことや、まちがった訓練をして犬に負担をかけないためにも、プロのインストラクターについて練習したほうがいい。
 ハンドラーと犬はパートナーとなって競技するので、普段からの絆の深さが重要になってくる。「障害をクリアするなかで、お互いの信頼関係がどんどん深まっていくのが、アジリティの楽しさですね」
 
ドッグダンス
飼い主と愛犬が心をひとつに軽快に演技!

宮崎さん&レディ。
息もぴったり、するりと足のあいだをくぐっていく。
 北関東の那須高原近く、栃木県黒磯市内の丘陵地にある、家庭犬のしつけ教室で知られるAFC(アニマルファンスィアーズクラブ)で開かれているドッグダンス教室に行った。
 笑顔で迎えてくれたAFC代表の佐良直美さんにあいさつして、トレーニングルームに向かう。朝10時からのレッスンは「フリースタイル」(ドッグダンスの正式な競技名)。チーフインストラクターの長谷川あや甫さんによれば、「フリースタイル」は、最初、欧米で、「オビーディエンス(服従訓練)」競技会を引退した高齢犬たちが飼い主と楽しみながら参加できる競技として始まり、2年前、AFCでもレッスンを開始したとか。
 愛犬を連れた四人の受講生が、次々にやって来た。まずAFCスタッフでダンス歴の長い秋元寿美枝さんが前に立ち、軽快な「ルパン三世」の主題歌曲に乗って、飼い主たちのダンスレッスンが始まった。人のほうが、恥ずかしさを忘れ、音楽に乗ってリズミカルに動けいと、“ドッグダンス”どころではないから当然だ。
 そのあとは、参加者と愛犬の個別練習。福島県からやって来た宮崎あかりさんがダルメシアンの愛犬レディと一緒に、さっそうと踊りだし、「わぁ、すごい」と声がかかる。レディは、宮崎さんの動きに合わせて、器用に足のあいだをくぐっていく。いちばん奥では、同じく、福島県からやって来た畑山英子さんがコーギーの愛犬ギータと課題の復習に一生懸命。始めてまだ1か月とのことだが、畑山さんの指示で上手にバックした。
畑山さん&ギータ。一生懸命、課題の復習を。
金丸さん&謝々。キメポーズは、音楽に合わせて“ハイタッチ”。
佐々木さん&ウメ。 ゴロンと見事な「ロールオーバー」。
 シーズーと参加した2組は、ともに埼玉県から来た金丸恵子さん&愛犬謝々組と、徳永治子さん&愛犬真亜子組。ちょこちょこと足のあいだを駆けまわる姿がほほえましい。徳永さんは、「うちの子は、野外でアジリティをすると、すぐ角膜炎になったりするので、室内でできるフリースタイルを前からやりたかったんです。お友だちに見せると、動きがすごくかわいいって言ってもらえるのがうれしくて」とほほえんだ。
 インストラクターの長谷川さんは、「フリースタイルは、動きの正確さより、飼い主さんと愛犬がパートナーシップを発揮して、楽しく踊ることが大切です。犬たちは年齢に関係なく、できることを楽しめるので、12、3歳の子たちも、からだの様子を見ながら、レッスンしています」という。
 11時からは「トリック」のレッスンだ。これは、フリースタイルのなかに取り入れる、愛犬が飼い主の指示で足のあいだをくぐったり、床の上を転げまわったりという、いろんな技をマスターするコース。インストラクターの長谷川さんの個別指導で、東京から来た二組、佐々木真紀江さんとミックスの愛犬ウメ組と、南貴美子さんとフラットコーテッド・レトリーバーの愛犬アルマ組。南さんが、床の上を転ぶ「ロールオーバー」の指示を出すと、アルマは、何度やっても、指示とは反対の方向にゴロゴロと転びだし、一方のウメは、佐々木さんが指示すると、まるで柔道の受身のように、肩から転んですばやく一回転して、見事に起き上がってみせた。
 みんなで驚いたり、あきれたり、感心したり、大騒ぎのうちにレッスンは終了した。 
 
ギグレース
笑顔で突っ走る犬たちが魅力


  12頭の犬と暮らし、ギグレースや犬ぞりを楽しむギグレース協会代表の山城一男さんは、「早いチームが勝つ。この勝敗のわかりやすさは、他にはない面白さですね」と、その魅力を語る。
 ギグレースは、人(マッシャー)の乗った自転車を、ハーネスを着けた犬がライン(ロープ)で引っ張り、決まったコースを走りタイムを競う。マッシャーは、ペダリングをしても、自転車から降りて犬と一緒に走ってもいい。レースは、犬種や大きさに関係なく参加できるように、さまざまなクラスに分かれている。なかでも初心者、小型犬にも参加しやすいのが、「1DOG サブノービスクラス」だ。これは、犬の前を走って呼び込みをする“サポーター”付きの種目で、犬1頭+マッシャー+サポーターで一チームとなる。
 ギグレースへの挑戦は、ハーネスが着けられ「オスワリ」程度のしつけができていれば、とくに難しくはない、という。レースでは、マウンテンバイクかBMXを使用するが、練習は、家にある自転車でもきるので、まずは、それで始めてみよう。1人が自転車に乗り、もう1人がサポーターとなって、犬の調子を見ながら走ってみる。そのとき、まっすぐ走らなくても、大声で怒鳴ったり、無理に引っ張ったりせず、走る楽しさを教えてあげること。
 「ドッグスポーツは“犬が主役”、たとえばギグなら犬が走ることを楽しめるようにするのが大切なんです」と、念を押す。たしかに、走っている最中の犬たちはみんなとても楽しそうだ。もちろん、一緒に走るマッシャーの顔もいきいきとしている。「ゴールした瞬間、犬と一緒に味わえる達成感は格別。感動して泣き出すマッシャーもいますよ」


楠レースは、サポーターが付いて走るクラス、1頭+マッシャーのみで走るクラス、2頭+マッシャーで走るクラスなどさまざま。
また、使用する自転車の種類でも分けられ、走る距離も100m〜400m以上と異なる。

*この記事は、2003年4月20日発行のものです。
 
取材協力
●日本フリスビードッグ協会(新潟市) 山田仁さん
 TEL.025-234-2100  http://www.frisbeedog.co.jp/
●NPO法人 OPDES(京都市) 益田晴夫さん
 TEL.075-313-1789   http://www.opdes.jp/
■取材協力
 Animal Fanciers Club(栃木県黒磯市) 長谷川あや甫さん
 TEL.0287-63-1117   http://www.mars.dti.ne.jp/〜afc/
●ギグレース協会(京都府美山町) 山城一男さん
 TEL.0771-76-0338   http://www.gigrace.com/
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