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目からウロコのペットの雑学講座


『物まねが得意なオウムやインコ、どれほど“意味”が分かっているの?』
『機嫌よさそうにしっぽを振っている犬に近づくとほえられたりするのはどうしてですか?』
『リクガメは、どのくらい大きくなる?』 『猫は、肉と魚とどっちが好き?』
『犬は毛色の違いによって、性格も違ってくるのでしょうか?』

うちの子のこと、もっと深く知りたいと思いませんか?
日ごろから不思議に思っていた動物の生態や行動の意味。
当たり前だと見過ごしていたけれど、考えてみたらなぜ?という謎。
知っていれば、ちょっと“自慢”な雑学知識などなど。
犬・猫・エキゾチックペット、それぞれの専門家が、
皆さんの素朴な「なぜ?」「何?」にお答えします。


犬の雑学

Q犬が笑うって、本当ですか?

A 動物行動学の世界で、「犬が笑う」という説を唱える学者や研究者はいません。しかし、口を開けて、口角を上げて、一見、笑っているような表情をする犬はよく見かけます。それについて、笑いかける人間の表情をまねている、という人もいます。
 本当のところはよく分からないのですが、犬はいつも飼い主のことをよく観察しているので、飼い主の笑ったり、首をかしげたりするしぐさを覚え、まねをしていても不思議ではありません。そんなしぐさを犬が偶然まねた時、飼い主が「かわいいね」「お利口ね」とほめ、同じしぐさを犬にして見せていれば、犬の方も、飼い主の反応がうれしくて、そのしぐさを覚え、まねをする回数が増えていくこともあるような気がします。


Q犬は毛色の違いによって、性格も違ってくるのでしょうか?

A わたしが留学していたアメリカのコーネル大学の行動治療科の教授が、同大学の動物病院に一般の病気で来院するラブラドールと、攻撃性にかかわる行動治療で来院するラブラドールの頭数を比較し、毛色と攻撃性のかかわりについて調べた報告があります。それによると、「イエロー」が最も攻撃性が高く、「ブラック」が中間値で、「チョコ」が最も攻撃性が低い、という結果になりました。
 また、イギリスのあるグループがイングリッシュ・コッカー・スパニエルについて調査した報告によると、「ソリッドカラー」(単色)の方が「ブチ」よりも攻撃的。さらに単色の中でも、「レッドゴールデン」という少し茶褐色系の方が「ブラック」よりも攻撃性が強い、ということが分かりました。
 興味深いのは、犬の毛色を決定する物質「ドーパ」が、脳を刺激して興奮させやすくする物質「ドーパミン」の前駆物質でもあることです。そのため、まだ科学的に実証されたわけではありませんが、「犬の毛色と性格との間に、何らかの関連性があるのでは?」と推測する人もいます。


Qオオカミはあまりほえないそうですが、その子孫といわれる犬がよくほえるのはなぜですか?

A 犬が人間に家畜化されていくなかで、かわいくて人によくなつき、従順な性質が好まれ、そのような傾向を強く持った犬の子孫が選ばれ、繁殖されてきたと考えられます。そのような性質は、幼い動物に特有のもので、家畜化によって、動物の幼い特質がより強く現れることをネオテニー(幼若化)といいます。ちなみに、大人のオオカミは、遠ぼえ以外、あまりほえませんが、子どものオオカミは、キュンキュン、キャンキャンと親を慕うように鳴くことが多いのです。そのように鳴く犬が人間に好まれ、選ばれて、繁殖されてきたのかもしれません。
 面白いのは、ロシアの研究者がやはりイヌ科動物であるキツネを使って、よりかわいい、従順な子孫を選んで何世代も繁殖させていったところ、最後には、耳が垂れ、体がブチ模様になり、しっぽが少し巻いた、犬のようなキツネの子孫が現れたとのことです。


Q機嫌よさそうにしっぽを振っている犬に近づくとほえられたりするのはどうしてですか?

A 子どものころ、「犬がしっぽを振るのは喜んでいるしるし」と教わりました。ある意味、事実ともいえますが、犬がしっぽを振るのは、“興奮している”時、と思ったほうがいいのです。当然、犬が喜んでいる時も“興奮”に含まれますが、そればかりではありません。例えば、見知らぬ犬や人が突然近づいてきた時、犬がすごく緊張して「攻撃するぞ!」と思っている時も、やはり興奮してしっぽを振ることがあります。
 もっとも、攻撃性のある興奮状態の時は、しっぽをゆっくりと振るといわれています。その犬をよく見れば、耳を伏せていたり、ウーとうなっていたりすることが多いので、単にしっぽだけでなく、全体の雰囲気を感じとるようにしてください。特に子どもは“雰囲気”を感じとれず、むやみに近づいていくので、犬の方がとても怖がり、ほえたり、かんだりすることがあるわけです。小さい時に犬にほえられたり、かまれたりすると、ずっと後まで悪影響が残り、犬嫌いになってしまうことがあるので、注意が必要です。


Q自分のことを“人間”だと勘違いしている犬はいるのでしょうか?

A 犬が自分を人間だと勘違いすることはないと思います。でも他の犬を同じ動物種だと思っていない犬は少なくないかもしれません。それは、生後あまりに早く母犬やきょうだい犬から離され、人間の世界で育っていったためと考えられます。
 生後6週齢から13週齢の時期は「社会化期」といわれ、極めて大切な時期です。この期間に母犬やきょうだい犬と一緒に暮らすことで、子犬は“犬の流儀”を身に着けていきます。そんな体験に乏しい子犬は、大きくなっても犬同士の付き合い方が理解できず、他の犬と出会うと怖がったり、逆に、ルールを無視して飛びかかっていき、相手に嫌われたりするわけです。
 ラットを使った研究でも、この社会化期に他のラットとの接触がないまま大きくなった個体は不安傾向が強い、という報告があります。子犬を飼う前に、その子犬がどんなふうに社会化期を過ごしてきたかを知ることが、とても大切です。


猫の雑学

Q帰宅すると、すぐに猫が来て、足元に顔を擦り寄せるのは、喜んでいるんですよね?

A 猫の顔、特にほおの辺りにはフェロモンが分泌されていて、猫が、それを室内の家具や柱にこすりつけ、自分にとって居心地のいい空間を築こうとするのはよく知られています。でも、それは自分の世界をより気持ちよくしようという行為で、帰宅した直後の家族に擦り寄るのとは少し違うようです。
 家族が外から帰ってくると、その人の体には、人間には分からない外の世界の様々なにおいがついています。そんな外のにおいが家の中に入ってくると、猫は不安な気持ちになります。そこで、自分のフェロモンをつけて不安感を静めようとしているのではないでしょうか。
 ついでに言うと、猫は家具や柱や人の体に自分のフェロモンを擦りつけますが、猫同士ではそんなことをせず、お互いの鼻先をつんつんしたり、なめ合ったりしています。ということは、人間は猫にとって、自分の世界を構成する一つの“物”なのかもしれませんね(笑)。


Q猫は毛玉を吐くために草を食べる、というのは本当?

A 1. 猫はなぜ“草を食べる”のか
 猫が「草を食べる→毛玉を吐く」と一連の行為のように思われがちですが、本当にそうでしょうか。
 最初に、「猫が草を食べる」という話を考えてみます。これは昔から注目され、草を食べることで栄養補給をするという説もありましたが、猫はまったくの肉食動物で、雑食性の人間のように、草を食べる必要はなく、正確な理由は分かりませんでした。ところが近年、ビニールや紙、ダンボールなどを食べる猫がいて、これは“食べる”のではなく、“かむ”行為ではないか、と考えられるようになってきました。
 そういえば、以前から、セーターなどウールの衣類を穴が開くほど食べる猫がいて、理由が分からないまま、「ウール・イーター(ウール食い)」と呼ばれてきました。これも好んでウールをかむ猫だったわけです。というわけで、猫が“草を食べる”のも、本当はビニールや紙をかむのと同じ、猫が好んで行う嗜好的な“かむ”行為と思ったほうがよさそうです。

2. 猫はどうして“毛玉を吐く”のか
 次に“毛玉を吐く”話について考えてみましょう。わが家にいる、ビニールをかむのが大好きな猫は、そのあと、気持ちが悪くなって、ウー、ウーと吐くことがあります。それと同じで、猫が嗜好的に“草をかんで”、その結果、気持ちが悪くなり、胃の内容物を吐くのではないか、と考えられます。
 胃の中に食べ物が残っていれば、食べ物を吐き、グルーミングしたあとの毛の固まりが残っていれば、それを吐く、というわけです。普通、猫がのみ込んだ毛は消化されずに胃から腸へ下り、最後にウンチに混じって排せつされます。
 では、よく猫が吐いたりするのは、どうしてでしょうか。一般に“猫はよく吐く動物”と油断されがちですが、実は病気が潜んでいることも多いのです。例えば、これまでの症例で言えば、気管支喘息にかかわるケースも少なくありません。そのような猫は適切な治療をすると、喘息発作もおさまり、吐くことも少なくなっていきます。


Q猫は視覚や聴覚が鋭いのはよく知られていますが、嗅覚はどうですか?

A 猫は、優れた視覚と聴覚の働きで、夜でも上手にネズミなどを捕まえることはよく知られています。しかし、自分が捕まえた獲物を食べるかどうかは、どんなにおいがするかによって判断します。
 猫は、野生の時代から、狩りで仕留めた新鮮な獲物を食べてきたので、特に鮮度にこだわるのかもしれません。また、来院する猫でも、熱があったり、鼻炎などでうまくにおいをかぐことができない猫は食欲をなくし、いつも食べている食べ物さえ食べようとはしません。わたしたち人間は、つい見た目で「おいしそう」と思いがちなので、猫の嗅覚と食欲の関係について見逃しやすいのかもしれません。


Q猫は、肉と魚とどちらが好き?

A 猫はずっと昔(以前は約五千年前といわれていましたが、最近では一万年前といわれています)から人の生活領域に入り、穀物庫に集まるネズミなどを食べながら、人と共生してきました。その過程でだんだん家畜化され、人が与える食べ物も食べるようになってきました。ですから、魚をよく食べる日本人と長く暮らしていれば、小さい時から魚をもらい、魚を好んで食べるようになっていきます。
 でも、猫が好んで食べるからといって、すべて猫の体にいい食べ物とは限りません。魚には猫にアレルギーを起こさせるものがあり、また、干物ですと塩分が多過ぎ、腎臓病になりやすいこともその一つです。なお、昔から「猫にカツオ節」といわれ、日本の猫の好物であるカツオ節は、加工する時、何度も煮ては乾燥させ、そのあと何度も、ある種のカビを塗ってはタンパク質をアミノ酸に変えて旨味を出しているので、おいしく、また塩分が比較的少ない食べ物です。しかし、現在、市販されているのは、そんな加工の手間を省いた「けずり節」がほとんどです。これはカツオ節より塩分がずっと濃く、猫の食べ物としてあまりおすすめできません。


エキゾチックアニマルの雑学

Qリクガメは、どのくらい大きくなる?

A リクガメの種類によって体の大きさも成長速度も違います。例えば、最近人気が出てきたアフリカ原産のケヅメリクガメの場合、生まれた時は体長数センチですが、一、二年で20センチほどになり、その後も際限なく大きくなっていきます。わたしが診たうちで一番大きかったのは横約50センチ、縦約60センチ。体重は40キロほどでした。ケヅメリクガメの寿命が何十年だか正確には知られていませんが、快適な環境で正しい飼い方をすれば、まだまだ大きくなるでしょうね。
 中には、飼って四、五年たつのに小さいままのものもいます。それは、リクガメが必要とする餌を十分に与えていなかったり、あまり日光浴をさせていなかったり、といった、飼育上の問題があるからです。草食ですので、大きなボウルいっぱいの野菜も、ワシャワシャ気持ちいいぐらいに食べます。


Qヘビは獲物をのみ込む時、息苦しくならないの?

A ヘビの気管は、わたしたちのように、食道と分岐しているわけではありません。口の中、ちょうど舌の付け根に通気口のような穴が開いています。また、鼻の穴は口とだけつながっていて、鼻から入った空気も、口の中の通気口から吸い込んでいきます(だから、鼻水の出ているヘビは、肺炎を起こしていることが多い)。
 それに、ヘビなどのハ虫類は変温動物で「代謝」が非常にゆっくりしているので、低体温の時は心臓の拍動も一分間に数回程度。呼吸は、30分ほど息を止めていても平気です。空気のない状態でも、自分の体内だけで呼吸することもできるのです。


Qフェレットと猫は、どっちがネズミ捕り上手?

A 猫は一応、食べようという気があるので、ネズミがどんなにたくさんいても、一日に、一、二匹捕まえれば満足するでしょうね。でもフェレットの場合、すぐ“遊び”に熱中するので、遊びとして狩りをしだすと、一晩中でもやっているかもしれません。
 だから、フェレットを飼うなら、一匹ではなく、二匹飼ったほうが、飼い主としてはラク。一緒に遊び始めて興奮すると際限がなくなるので、かみグセの強いタイプだと大変なんです。特に子どもの時は“加減”を知らない。おとなになると分かってきて、いたずらが過ぎた時、母親みたいに首ねっこをつかんで、「ダメ!」としかると、おとなしくなります。でも床に下ろすと、けろっと忘れてすぐに遊びだす。根に持たない子が多いです(笑)。


Q物まねが得意なオウムやインコ、“意味”は分かってるの?

A 鳥は視覚と聴覚が発達していて、鳴き声でお互いのコミュニケーションをとっているので、言葉の意味を聞き分けることができるのでしょう。例えば、うちの病院のマスコット、ヨウムの「アーリン」などは、何か欲しい時は「ちょうだい」、いらないものには「バイバイ」と言います。大きなインコなどを診ようとすると、診察が嫌だから、「バイバイ」「バイバイ」って言う子もいます(笑)。その子を病院で預かっていて、家の人が迎えに来ると、「お母さん、ただいま!」と喜んだりします。
 大型のオウムやインコの知能程度は、人間の五歳児程度といわれますから、すごいです。ただし、精神年齢が二歳児程度で止まっているので、何でも欲しいものは“わたし”のもの。自分中心ですごくわがままなのです。


*この記事は、2005年1月20日発行のものです。


●取材協力
[犬の雑学]
東京大学 助教授 東京大学大学院農学生命科学研究科 獣医動物行動学研究室
武内ゆかり先生
http://www.vm.a.u-tokyo.ac.jp/koudou/jptop3.htm
[猫の雑学]
キャットホスピタル キャットドクター
東京都渋谷区千駄ヶ谷2-33-1
南部和也先生 南部美香先生
http://www.cathospital-tokyo.com/
[エキゾチックアニマルの雑学]
アーリン動物病院 院長
千葉県松戸市小根本77-3 TEL.047-703-4833
中村ちはる先生
http://www.arling-ah.com/

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