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知っておきたい「ペットの栄養学」

 政府の地震調査委員会の発表によれば、首都圏でマグニチュード(M)7クラスの直下型地震の発生する確率は、十年以内に30%、三十年以内に70%。つまり、大地震はわたしたちが生きている間にほぼ来るということです。日本列島は火山も多く、地勢上、噴火も水害も起きやすい。防災関係者に聞くと、今や「防災」ではなく「減災」。災害を防ぐことはできない、せめて被害をいかに減らすかが大事です。市民、行政、NPO、ボランティアが、「減災」について真剣に考える必要があります。
 では「ペット」の視点から考えてみると、どうでしょうか。
 ペットフード工業会が二○○四年に行った調査では、犬か猫、もしくは犬猫両方を飼育している家庭は三・三世帯に一世帯。小鳥や金魚まで含めると二世帯に一世帯に何らかのペットがいます。ペットと暮らす人はもはや少数派ではありません。ペットを含めた危機管理を考えておかないと、災害に見舞われ、避難を余儀なくされた時、多くの人が路頭に迷うことになります。
 災害時は、ペットとの「同行避難」が基本となります。ペットを置いていったり、放したりするわけにはいかないでしょう。ところが、自治体のほとんどが、「地域防災計画」に動物救護対策を盛り込んでいませんでした。現在、首都圏を中心に各自治体で取り組みが進んでいますが、ペットと暮らす人たちはもっと大きな声を上げたほうがいいですね。
 また、行政に頼るばかりではなく、個人でできることはやるという、サバイバルのための自助努力がとても大切です。基本は、日ごろから、ペットの適正な飼育をしておくことです。例えば、ワクチン接種をして、ノミや寄生虫を駆除し、不妊・去勢をしておくこと。そうでないと、他のペットと一緒に避難生活を送るのが難しくなります。
 もう一つ大切なのは、犬の場合は「しつけ」です。「おいで」と言えば来る。「待て」と言えば待つ。ムダぼえしないで、他人やよそのペットたちと静かに過ごせないと、周囲に迷惑をかけることになります。「犬がいて、ほっとする」と言われるぐらいの犬にしつけてほしいですね。
 猫の場合は、家以外の場所や家族以外の人に「慣らす」ことが大事です。せめてキャリーバッグにちゃんと入って移動できなければ、いざ、という時、避難することもできません。できれば、子猫の時からリードを付けて散歩できるように慣らしておけば安心です。


 平成十一年に、新宿区として、災害時の動物にかかわる何らかの体制を作っていこうと、当時の新宿区衛生課長と東京都獣医師会新宿支部長が話し合いをもちました。同年、獣医師会新宿支部が動物病院に来院した飼い主にアンケート調査をしたところ、大多数の方が「ペットを連れて避難所に逃げる」と回答されました。
 平成十二年に新宿区の地域防災計画の中にある「犬・猫等動物の取扱い」という項目を前提に、部内で検討を始め、調整をしました。平成十五年、新宿区長と東京都獣医師会新宿支部長とが正式に「災害時の動物救護活動における協定書」を締結。同年十月に「動物救護連絡協議会」をもち、救護内容に関する検討を始めました。平成十六年度の新宿区の予算として「災害時の動物救護体制の整備事業」が三月区議会で承認されました。

ペットとの同行避難訓練の様子。小型犬や大型犬、猫まで、たくさんのペットと飼い主が参加した

 平成十六年五月、牛込消防署から「人とペットの防災ふれあい体験」をやりたいとの申し入れがあり、同年六月、区立余丁町小学校で行いました。当日の参加者は約二百五十名で、一般参加は約百八十五名。犬猫同行は五十組。「起震車同乗体験」や「煙ハウスくぐりぬけ体験」もしましたが、犬たちが落ちついていたことに驚きました。この時の訓練を参考に、避難所に何を配備すべきかを検討し、飼い主向けパンフレットと各避難所向けマニュアルを作成しました。
 マニュアルといっても、わたしどもが提供した素材をもとに、各避難所となる学校と各町会、住民の方々が話し合って、各地区の実情に合った具体案を練り上げてもらう方法になります。「同行避難」ですが、同じ敷地のどこか違う区画に動物だけの場所を作ってもらう。また、飼い主が愛犬や愛猫のケージを持参し、食料・水等を用意する。これらが基本となります。また、避難所内の動物担当者を誰にするかを各避難所で決めてもらう。ペットの飼い主を中心に動物班を作ってもOKです。
 区としては、各避難所の備品として、迷子動物や負傷動物の専用ケージを十八個用意しています。また、「動物の避難所」というプレートや首輪、動物用のトイレ、動物ゾーンを区分けする工事用コーンを備えています。災害時の各避難所では、獣医師会新宿支部の協力により、巡回で診療を行います。





*この記事は、2005年7月20日発行のものです。


●取材協力
フリージャーナリスト 香取章子さん
新宿区保健所衛生課生活衛生係 高木優治さん

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