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ちょっと遠出をしてみませんか?ペットとドライブ


ご存じですか? こんなサービス 高速道路(SA&PA)にある、犬と飼い主たちのオアシス「ドッグラン」を訪ねて
「こんにちは」と駆け寄る「こだま」
   
足柄SAのドッグランは最初「小鳥の森」として整備された。静かで木々も多く、眺めもいい
高速道路に全国で初めてのドッグランを開設した足柄SA
辻田さんの足下で「一緒に遊ぼう!」
駆け出した「サンタ」と「イブ」
越村さんと「こだま」
橋本さんと「陸」
夏場は大人気のプール
富士山と箱根山系の間にある、東名高速道路・足柄SA(下り)へ
 快晴の週末、首都圏から東名高速道路を西に走る。春めいて暖かな神奈川県南部を突っ切り、静岡県東部に入ると、右手前方に白雪の輝く富士山が迫ってくる。左手には箱根山系が並ぶ。少しして、御殿場インターの手前にある足柄SA(下り)に車を止める。ここは日本の高速道路の中で、最初にドッグランを開設したSAとして知られている。
 駐車してすぐ、2頭の愛犬「サンタ」と「イブ」を連れた辻田さんと出会った。一緒に広いSAの東端、自然林に囲まれたドッグラン「愛犬の広場」に向かう。辻田さんは、東京都品川区の自宅から静岡県の御前崎へサーフィンに行く途中だった。
 「サーフィンはほぼ毎週です。犬たちは家で留守番することも多いのですが、明日1日フリーなので、たっぷり遊んであげようと思って」。辻田さんは今まで足柄SAにドッグランがあることに気づかなかったとか。サンタとイブは、最初は慎重に、やがてリラックスして愛犬の広場に駆け出した。
 すぐに、大きなバーニーズの愛犬「こだま」を連れた越村さんが入ってきた。越村さん夫妻はイチゴ狩りのため、石垣イチゴで有名な静岡方面に行くところ。「ここは、できた時からよく利用しています。人間は遊べても、犬が遊べるところはほとんどないので、助かります」。奥さんの実家が新潟なので、冬場、こだまは雪の中で遊びまわるのが大好きなのだという。
 朝日がだんだん高くなり、暖かくなってきた。東に、クマと相撲を取った「金太郎伝説」で有名な金時山がそびえている。静かなので、野鳥のさえずりがよく聞こえる。東名高速道路・御殿場管理事務所副所長の加藤正人さんによれば、ここは最初、「小鳥の森」として整備された場所。静かで木々も多く、眺めもいい。近くなら、たまに愛犬と遊びに来るのも良さそうだ。
 そんなことを思っていたら、愛犬「陸」とやって来た橋本さん夫妻が入ってきた。「ここはいいですね。うちは(神奈川県の)秦野インター近くなので、週に一度ぐらい、主人とこの子と3人で立ち寄ります。わたし、実家が関西なので、時々陸を連れて帰るのですが、ここから西の高速道路ではドッグランのこと、あまりきかないので、寂しいですね」。犬と暮らせば、みんなでドライブする機会も増える。家族仲も良くなる。「陸は、主人が帰ってきたらすごい歓迎ぶりで、主人もメロメロ(笑)。この子がいなかったら、多分、夫婦の会話もなかったかも」と奥さんはほほ笑み、陸の大好きなボールをけって遊びだした。


利用客の要望に応えて、2001年8月、足柄SAにドッグラン第1号開設
 東名高速・足柄SA(下り)のドッグラン「愛犬の広場」が開設されたのは、01年(平成13年)8月10日。この夏で丸5年になる。御殿場管理事務所の加藤さんによれば、利用客から「高速道路のSAやPAに、愛犬を自由に放せるドッグランがほしい」とか、反対に「芝生のところへ行ったら、犬のウンチが転がっていた。なんとかしてほしい」という要望が日本道路公団(現東日本・中日本・西日本高速道路株式会社)に寄せられていた。「当時、民間のドッグランがあちこちででき始めていましたので、うちでもできないかと検討し、足柄SA(下り)に最初のドッグランを作ることにしました」
 高速道路をドライブ中、犬たちを何時間も車の中だけで過ごさせるのはかわいそうだ。ドッグランがあれば、愛犬連れの利用客は、安心して愛犬を休ませ、遊ばせることができる。また、ドッグランがあれば、犬連れの利用客とそれ以外の利用客を区分でき、お互いが余計な気を使わなくてすむ。日本道路公団の担当者たちは、既存のドッグランやドッグスクールを訪問して、施設の規模や仕様、管理・運営の仕方などを学び、01年夏に開設した。
 「開設当初、ご利用のお客様は平日で10〜20組、休日で40、50組。今ではそれぞれ3倍以上になっているでしょうね」
 その後、利用客の願いに応えて、施設の外にあった休息所を取り込み、プールを拡張。夏場は、日陰で休む人と犬、水遊びをする犬たちで大にぎわいという。3年前には、愛犬の広場で遊ぶ犬たちのフォトコンテストを実施し、好評を博した。
 愛犬の広場は、無料・時間制限なしで、利用客の自主管理が原則である。中にはウンチ処理用のビニール袋と専用のゴミ箱もある。同管理事務所総務担当課長の若林明彦さんによれば、開設以来4年半あまりで、トラブルは1件もなし。「みなさん、マナーが良くて、仲がいいですね」
 なお、日本道路公団では、利用客の反響の良さに力を得て、その後、東北自動車道の那須高原SA(下り)、常磐自動車道の守谷SA(下り)、中央自動車道の駒ヶ岳SA(下り)、上信越自動車道の佐久平PA、東名高速道路の上り線・足柄SAから東京方面へ少し走った鮎沢PA(上り)などにドッグランを開設していった。
東名高速・下り線の足柄SAから上り線の鮎沢PAへ
 まだ春前の時期だったが、好天に恵まれ、愛犬連れの利用客が一組、二組と足柄SAのドッグランを訪れる。
 千葉県佐倉市から、3頭の愛犬「モアナ」と「ラム太」、「アロハ」を連れた宮本さん夫妻もここの常連だった。「これから富士山麓の朝霧高原にキャンプに行きます。うちはみんなで出かけることが多いんですが、普通のSAだとオシッコをさせるのにも気を使います。こんなところがもっとあればいいですね」
 神奈川県厚木市から沼津方面の温泉に行くというのは、愛犬「すー」と一緒の水谷さん夫妻。「うちの子も、ここに来るのを楽しみにしているんで、結構寄りますね」。水谷さんに「東名高速・鮎沢PA(上り)にもドッグランがあります」と伝えたら、「それなら、帰りに寄ります」とうれしそうだった。なお、愛犬の名前「すー」の由来を尋ねると、奥さんが少し照れながらこう言った。「わたし、沖縄の海が好きなんです。沖縄では引き潮や満ち潮の“潮”を“すー”と言うので…」
 その後、愛犬「ルビー」と「ベル」を連れた、東京都品川区の猪子さん夫妻がやって来た。2頭の犬は愛犬の広場に入ると、わが家の庭で遊ぶように悠々と歩いたり、走ったりし始めた。「僕たち、年に一度は、浜名湖にある犬も泊まれるペンションに行くので、毎年、ここに立ち寄っています」
 東京都多摩市から、愛犬「チロ」と「まろ」と一緒に伊豆へドライブ中だというのが、戸谷さん夫妻である。「今日は日帰りですが、伊豆には犬の泊まれる施設が多いのでよく行きます。ここで遊ぶと、犬たちのストレス発散になって、いいですね」
 戸谷さん夫妻と別れた後、御殿場インターまで車を走らせ、いったん下車して、今度は東名高速の上り線を東京方面に向かい、県境を越えて神奈川県山北町に位置する鮎沢PA(上り)内のドッグランを訪ねた。この「愛犬の広場」の柵の一部は、地元・山北町で伐採された間伐材でできていて、地元の有志が毎年、ボランティアで施設内の草刈りをしてくれるとか。
 週末のお昼前のため、利用客はそれほど多くない。のんびりとPAの西側へ歩いていくと、愛犬「ピッコロ」と「カノン」を連れた、静岡県藤枝市の浜岡さん一家に出会った。奥さんの実家が横浜とのことで、里帰りのたびに鮎沢PAの愛犬の広場で休憩するという。
 すぐ後に愛犬の広場の脇に1台の車が止まり、愛犬「コロ」と「茶々丸」を連れて出てきたのが、伊藤さん親子だった。伊藤さんは富士五湖のひとつ、河口湖畔の別荘地で暮らしている。「わたしたち、いつも富士山の周りを走り回ってます(笑)。ここには、横浜の実家に帰る時、いつも立ち寄ります。ゴミ箱もビニール袋も置いているので、いいですね。それに子どもが遊べるスペースもあって…」。そう語る伊藤さんの脇をすり抜け、愛娘の百菜ちゃんが、楽しそうに芝生の上を駆けていった。
鮎沢PAのドッグラン
伊藤さん親子と「コロ」「茶々丸」
浜岡さん一家と「ピッコロ」「カノン」
宮本さん夫妻と「モアナ」「ラム太」「アロハ」
水谷さん夫妻と「すー」
猪子さん夫妻と「ルビー」「ベル」
戸谷さん夫妻と「チロ」「まろ」
ドライブでのストレスを発散!
存分に駆け回って、ちょっと休憩
陰山さん夫妻と「ルル」
後藤さん夫妻と「リティ」
矢萩さんと「なな」「桃次郎」
小川さん夫妻と「陸」「雛」
常磐自動車道・守谷SA(下り)のドッグランに立ち寄る旅行者と犬たち
 翌日の日曜日の朝も、雲ひとつない晴天だった。この日は、埼玉県南東部の三郷JCT(ジャンクション)から常磐自動車道で北に向かって走り、ほどなく流山インター、柏インターを通過。やがて利根川を渡り、すぐに現れた守谷SA(下り)に入った。
 守谷SAの南西端に木々の繁るドッグランがある。その前で待機していると、次々に愛犬連れの人たちがやって来る。
 最初に出会ったのは、愛犬「ルル」と、西東京市の自宅から茨城県内の実家に向かう陰山さん夫妻。陰山さんが実家にルルを連れて帰るのは、今回が初めてとか。「こんなところにドッグランがあったんですね。普段、あまりドライブしないし、ドッグランも今日が初めて。でも、ドライブインには入れないので、高速道路にこういうのがあると、いいね」
 続いて、東京都東大和市の後藤さん夫妻が愛犬「リティ」と入ってきた。「これから茨城県の那珂湊に行くところです。ここのドッグランはドライブコースのルートになっていて、よく立ち寄ります。リティを放して、いろんな犬と遊ばせるのが楽しみでね」。リティはすぐにルルと遊びだす。その光景を見ながら、後藤さんは「リティはしつこいぐらい追いかけ回すので、かえって嫌われるんだけど(笑)」とほほ笑んだ。
 同じ東大和市から茨城県那珂市の実家に帰るという矢萩さんは、愛犬「なな」と「桃次郎」とのドライブ。「この道を通る時は、絶対寄ります。車の中に置いておくのはかわいそうだしね。それに、この子たちをここで遊ばせて少しは疲れさせないと、わたしが疲れるから(笑)」
 「ドライブの時、犬は1時間に1回ぐらい休んであげないとストレスがたまるから」と言いながら入ってきたのは、千葉県松戸市の小川さん夫妻と愛犬「陸」、「雛」。後からお友だちが愛犬2頭を連れてやって来て、4頭がドッグラン内を駆け回る。小川さんが、入り口の水場から携帯バケツに水をくんでくると、犬たちがやって来て、ガブガブと飲みだした。「今日は茨城のほうへイチゴ狩りに行くところ。ここは、友だちと一緒によく来ます。木が多くて、夏でも涼しいし、それほど混んでもいないので、ゆっくり休めます」
 高速道路(SAやPA)のドッグランは、愛犬連れの旅行者たちの、文字通りのオアシスである。
 


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*この記事は、2006年3月20日発行のものです。

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