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初めてさんでも大丈夫!ドッグスポーツ初心者大会に挑戦


「ドッグスポーツ」と聞くと、
犬がフリスビーを空中でキャッチしたり、
ハードルを華麗に飛び越えたりと、
高度なイメージを思い浮かべてしまいやすいもの。
そのため、興味はあるけれど
参加をためらっている人は多いのではないでしょうか。
今回は、そんな不慣れな人と犬でも気軽に参加できる
ドッグスポーツの初心者大会を取材しました。
初心者大会はルールが正規のものより
易しいのが特徴で、各地で開かれています。
みんな最初は初心者。まず、挑戦してみませんか。



人と犬とのコミュニケーションスポーツ Frisbee Dog

 柔らかな芝生コートの上を、白、赤、オレンジなど、色とりどりのディスクが飛び、その後を犬たちが懸命に追いかける。やがてディスクがスピードを緩め、ゆっくりと下降し始める。すでに真下に迫っていた犬が、間合いを測ってジャンプ。空中でディスクをキャッチすると、コート周辺のギャラリーから歓声があがる。ディスクをくわえた犬は、スタート地点で待つ飼い主めがけて一目散に戻っていく…。

 秋の週末、全日本フリスビードッグ公式選手権が、兵庫県西部の播磨科学公園都市内の芝生公園で開かれた。公式競技が開催されているAコートの隣にあるBコートでは、初心者向けの「ビギナー大会」や、その上のレベルの「チャレンジ大会」が行われた。
 フリスビー競技は、一定の距離以上、ディスクを飛ばし、犬がそれを直接キャッチして持ち帰らないとポイントを得ることができない。しかし、ビギナー大会は、大会を主催する日本フリスビードッグ協会(JFA)関西事務局長の加部真巳さんによれば、コース内であれば、犬が地面に落ちたディスクを拾い、持ち帰っても大丈夫で、人も犬も気軽に参加できる、楽しい競技である。
 また、加部さんは「フリスビードッグは、人と犬とのコンビネーションが大切な、“コミュニケーションスポーツ”」と語る。お互いが気心を合わせ、人がディスクを投げ、犬が追いかけ、キャッチして持ち帰り、また人が投げ、犬が追いかけて…ということを制限時間(60秒)内に何度も繰り返し、ポイントを重ねていく。
 けれども、ディスクをうまくキャッチできないから、持って帰れないから、放せないからと、焦る必要はない。「愛犬が飼い主とディスクを通じて“遊ぶ”こと、それ自体が犬たちにとってうれしい“ごほうび”なんです」と加部さんは強調する。そのため、練習も、最初はその場で手渡すようにキャッチさせる。成功すれば、思い切りほめる。次いで50センチ、1メートル、5メートルと、少しずつ、お互いが楽しみながら距離を延ばしていく。
 実は、難しいのは犬よりも人のほうである。毎回、風の向きや強さが異なる中で、犬がキャッチしやすいよう、ディスクが水平に飛ぶように投げるのはそれほど簡単ではない。そんな“奥の深さ”も、フリスビー人気の秘密かもしれない。

 

2年前から大会に参加している、大阪府貝塚市の小林さん夫妻。「ビギナー大会の良さは、投げるのをミスしても、犬たちがディスクを拾って帰ってきたら、ポイントになるところです。楽しそうに持って帰ってきてくれる姿を見るのが、とてもうれしい」。

 
 
 
 
 

地元の兵庫県揖保郡太子町からやってきた福井さん。「娘や孫が愛犬の風と一緒にフリスビーするのを眺めて、応援しているのが楽しいですね」と微笑む。その横で、娘のゆかさんが、「うまく投げるのは難しいけど、自分が『おいで!』と叫んで、風が一生懸命走ってきてくれるのが最高です」と声を弾ませた。

 
 
 

愛犬「ライン」がフリスビーを始めてまだ数か月という、神戸市北区の萩原さん夫妻。「練習ではうまくいくのですが、大会参加は初めてで、ラインが興奮して、第1ラウンドは逃亡してしまって(笑)。犬はフリスビーが大好きでいいんですが、放してくれなくて、まだ無理にディスクを奪い取る状態です」と笑う。

 
 
 

地元の兵庫県龍野市から参加した福島さん夫妻も、フリスビーは夏に始めたばかりで、犬の訓練教室仲間から誘われた。「うちの子たちは怖がりなので、社会性を身につけるために参加しています。それに出場していい成績をとれば、励みになりますしね」と言う。

 
 
 

津田さんは福島さん夫妻の仲間のひとり。姫路市から子どもたちと一緒に愛犬「シェ−ン」と出場した。「2年前、初めて大会を見学して、犬ってこんなことができるの、わたしもやりたいと、シュートを飼い始め、訓練と一緒にフリスビーを始めました。なかなか難しいけど、大会の雰囲気がものすごく楽しい」。

 
 
取材協力

日本フリスビードッグ協会(JFA)関西事務局
大阪府寝屋川市香里新町19-12
TEL.&FAX.072-802-2100

JFA日本統括本部
新潟市川岸町3-17-29
TEL.025-234-2100
FAX.025-234-2101
http://www.frisbeedog.co.jp/

人と犬が一体となって、スピード感あふれる走りを満喫! Gig Race

 ヘルメットに丈夫な靴、厚手の手袋、ひじ当てにひざ当てをつけたマッシャー(操縦者)が自転車にまたがり、「ゴー!(行け)」という掛け声とともに全力でペダルをこぐ。長いリードの先、ハーネスをつけた犬が、合図とともに半円形のコースを駆け始める。その先を、サポーターが犬の名前を連呼しながら走っていく。あっと言う間にゴールイン。人も犬も、晴々とした表情で、お互いの力走、健脚、奮闘をたたえ合う。
 神戸市のポートアイランドで行われた「りぶ・らぶ・あにまるずフェスティバル」でのギグレースの一コマである。
 ギグレース協会事務局長の山城一男さんによれば、ギグレースの楽しさは、人と犬が一体となって、スピード感あふれる走りを満喫できること。「中には、『うちの犬がこんなに一生懸命走ってくれる』という思いで、涙を流しながらゴールしてくる人もいる。それに、後ろから走るマッシャーには分かりませんが、犬たちが、みんな、最高にうれしそうな表情でゴールめがけて駆けてくるんです」と語る。
 ギグレースの公式戦は自転車に乗るマッシャーと犬だけのチーム編成だが、「初ギグ(50メートル)クラス」と「サブノービス(100メートル)クラス」は、犬のガイド役となるサポーターが前を走る、ほのぼのとしたファミリースポーツの味わいがある。もっとも最初は、人も犬も一緒に走る“呼吸”を合わせるのが少し難しい。
 「散歩の時、犬は人の横を歩き、人より前に行くと“ダメ”ですよね。ですからスタートの時、自転車をこぐ力が弱いと、犬のほうが速過ぎてリードがピンと張り、犬は“止まれ”のサインと誤解して停止するんです」と山城さん。犬たちは走るのが楽しくてどんどん走る。それに遅れないように、人のほうが最初からトップスピードで自転車を走らせるのが上達のポイント、とのことである。

 
 

兵庫県川辺郡猪名川町から愛犬「パピィ」と初ギグクラスに参加した小林さん夫妻。ホームページを見ての当日参加で、もちろんギグレースは初体験。「最初、止まったらどうしようと思っていたんですが、カーブを抜けて、最後の直線、犬もパートナーも一緒に走っているし、自分もスピードが乗ってきて、すごく面白かった。犬が自転車を引っ張るのは大変かな、と思っていましたが、犬より人のほうが大変ですね(笑)」。

 
 
 

京都市伏見区からやってきた谷口さん一家。1年あまり前に始めてから、家族みんながすっかりギグレースのとりこに。「最初に出たレースで3位になったのがきっかけです。娘が自転車に乗って、親が前を走る。みんな和気あいあいで楽しいですね。この冬は、雪の中を走る石川県の大会に行ってみようかと思っています」。

 
 
取材協力

ギグレース協会
京都府南丹市美山町高野堂の上2
TEL.&FAX.0771-76-0817
http://www.gigrace.com/

いろんな障害をひとつずつクリア、たまの失敗もご愛嬌 Agility

 人と犬が、ハードルとトンネルの障害物が並ぶ、ビギナークラスのアジリティコースに向かって走りだす。コースに慣れた犬たちは、楽々といくつかのハードルを飛び越え、トンネルをくぐってゴールイン。慣れない犬たちはハードルを迂回し、飼い主の指示でまたハードルに戻り、そっとまたいで通過する。あるいはトンネルの前で立ち止まった愛犬を励ますため、飼い主がトンネルの出口に顔を入れて呼びかけると、そっとくぐり始める。「りぶ・らぶ・あにまるずフェスティバル」のアジリティコースでの情景である。
 この大会では、ちょっと難しい平均台、シーソーやスラロームなどもなく、誰でも気軽にチャレンジできる。「これをきっかけに、人の指示で犬たちが息を合わせて、いろんな障害をひとつずつクリアしていくアジリティの楽しさに目覚めていただければ」と、「フェスティバル」を主催するNPO法人Knots(ノッツ)のチーフトレーナー、半坂恵さんは語る。実際、一度参加して楽しかったのでぜひ次も、という人は多い。
 半坂さんは、「上達のコツは、基本的なしつけをしておくこと。あとは犬の負担にならないよう、楽しく、無理なく、安全に」と付け加えた。

 
 
 
 

「今日は3頭エントリーしました」と言う、大阪府枚方市からやってきた宮崎さん夫妻。何年か前、しつけ教室の仲間に誘われて挑戦。すっかりアジリティにはまってしまった。「アジリティは、飼い主が楽しいと、犬たちも本当に楽しそうです。いつも通う訓練学校で週に1回、仲間と練習し、オンシーズンは、みんなで通えるところならどこの大会にも参加しています」と胸を張る。

 
 
取材協力

NPO法人Knots(ノッツ)
兵庫県西宮市神楽町6-19-204
TEL.&FAX.0798-22-2878
http://www.knots.or.jp/

全力疾走、のんびり走。楽しむコツは“マイペース” Dog Marathon

 リードで結ばれた人と犬が、何組もそれぞれ二人三脚(?)のように仲良く、トラックを駆けていく。ランニングウエアを着用する全力疾走タイプから、普段着姿でのんびり走る人まで、それぞれが年齢や体格、男女差に合わせてマイペースで楽しめるのがドッグマラソンである。
 関東地域で毎年開催されるシモンズ杯全日本ドッグマラソン大会には、開催地の東京や横浜などの地元を始め、関東各地や新潟方面から毎回多数の人が参加して盛り上がる。途中で仮装行列もあり、参加者は毎年、奇抜なコスチュームで行進。拍手喝采を浴びる。
 今度でエントリー3回目という横浜市港南区の鈴木さんは、「愛犬と一緒にゴールした時の喜び、達成感ってすばらしいですね」と言う。もっとも、初回参加時、「400メートル走ったんですけど、日ごろ運動不足なので疲れて、2回目の時は事前にトレーニングをしました。でも、あまり変わらなかったですね」。仮装行列も大好きで、仲間の犬たちがおそろいのアロハシャツを着たり、いろんな動物の着ぐるみ姿で出場するのだとか。
 前回が初参加の住谷さんは、東京都板橋区から。「シニアの部に初出場して、準優勝してうれしかったです。それにきょうだい犬が一緒に参加するので、みんなに会える楽しさも大きいですね」と言う。
 同じハスキー犬仲間に誘われて、今度が初参加という東京都三鷹市の吉原さんは、「わたし、400メートルを連続して走れないので、家の周りを走ったり、近くのドッグランでダッシュの練習をしたりしてきました。ほのぼのと走って楽しめればいいですが、もしかしたら火がつくかも」と意欲満々である。
 シモンズ杯全日本ドッグマラソン大会を主催する全日本愛犬スポーツ協会事務局長の早瀬洋さんによれば、犬たちと一緒に走ってみたい、という希望者が多く、一度参加するとリピーターになる。「基本は、人間が犬を引っ張らないこと。リードをつけて飼い主と一緒に走れるので、犬たちも安心して楽しめるし、飼い主の方々の健康づくりにも役立ちます」と締めくくった。

 
仮装行列も行われる(2段目中央・右端写真)
取材協力

全日本愛犬スポーツ協会
東京都港区赤坂1-9-15 日東エージェンシー内
TEL.03-3582-8131
FAX.03-3584-5095
http://www.nittoag.com/dogmarathon/

*この記事は、2007年1月20日発行のものです。


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