下痢をする
軽症のものから重症のものまで様々
犬を飼っていると一度は直面する愛犬の下痢。すぐに回復する場合もあれば、一命にかかわりかねない病気が潜んでいることもあり、一概に楽観視はできない。 どのようなことが原因になり、どんな症状が起きるのかをまとめてみた。 |
【症状】 消化・吸収不良の食べ物や水分が排せつされる |
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【原因とメカニズム】 食べ過ぎから感染症、寄生虫、内臓疾患や腫瘍まで |
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下痢の要因は実に様々である。 食べ過ぎやダラダラ食い、高脂肪食など食生活のアンバランス、食物アレルギー、ストレス(神経性下痢)から、ウイルスや細菌感染症、寄生虫、胃腸炎、腫瘍、膵炎など内臓の病気まで、疑わしい要因はたくさんある。 ●食事性の下痢 その中で特に目立つのは、食事性の下痢である。要因は食べ過ぎだけではない。例えば、散歩の時、何か変わったものを拾い食いした。普段は食べないような(人間用の)食べ物を与えた。脂っこい食べ物を与え続けた(犬は脂肪を消化する力が強くないため、高脂肪食を取り続けると下痢をしやすくなる)。乳製品を食べ過ぎた※。食材に含まれる“何か”で食物アレルギーを起こした、などのケースが考えられる。 ※犬には牛乳に含まれる乳糖を分解する酵素を持たないものも多く、その状態を“乳糖不耐性”という。 ●ウイルスや細菌性の下痢 何らかのウイルスや細菌に感染。腸管で異常繁殖して腸炎を引き起こす。体は増殖した病原体を体外に放り出すために下痢を起こし、体を守ろうとする。 例えば、感染・発症すればひどい症状を起こして命にかかわりかねない犬ジステンパーウイルスや犬パルボウイルス、あるいはもっぱら腸炎を引き起こす犬コロナウイルスなどがある。これらのウイルスには、感染を予防するワクチンがあるが、ワクチン接種前後の子犬や未接種犬が、散歩の途中などで、感染犬の排せつしたウンチに接触して経口感染することもある。 また、自然界には、感染すれば下痢を起こしかねない細菌や原虫なども数多くいる。特に免疫力、体力の乏しい子犬や高齢犬が感染しやすく下痢に悩まされやすい。 ●寄生虫性の下痢 回虫や条虫、鈎虫、鞭虫などの寄生虫が腸管にたくさん寄生すれば、下痢を起こす。近年は生活環境も整い、放し飼いも少なくなって、犬たちが寄生虫に感染するケースも少なくなった。しかし、子犬が母犬から胎盤感染したり、公園や河原を散歩し、放置された感染犬のウンチから感染したり、また、感染犬の被毛には虫卵が付着していることも多く、その犬とじゃれ合っていて虫卵を飲み込む場合もある。 たとえ感染しても、体内での寄生数が少ないと虫卵を検出できないこともある(寄生虫に感染した犬の検便で、虫卵が検出されるのは5割程度という報告もある)。実際に、原因不明の下痢が続き、検便をしたが虫卵が見つからず、念のために駆虫薬を飲ませると、寄生虫がたくさん排せつされた事例もある。特に盲腸に寄生する鞭虫などは、ウンチから虫卵が検出されないことも少なくない。 |
【治療】 絶食して胃腸を休ませながら、要因を特定して必要な治療法を選択する |
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【予防】 適切な健康管理と食事管理、ワクチン接種、駆虫薬の定期投与など |
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*この記事は、2007年7月20日発行のものです。 | |
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